「ミニ軽トラのように使える」低速配送ロボットが工場間を自動搬送無人搬送車(2/2 ページ)

» 2026年02月05日 08時00分 公開
[森山和道MONOist]
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安全確保と確実な稼働性の両立が重要

 今回の実証実験は、神奈川県さがみロボット産業特区グループによって2025年度に採択されたプロジェクトの1つ「自動搬送ロボットによる従業員の業務効率化と安全性向上の実現」の枠組みで実施された。

 神奈川県は生活支援ロボットの実用化や普及を促進するため、ロボット企業とともに実装に向けたロボットの改良を行い、ロボットの導入実証に取り組むプロジェクトを公募/採択し、総合的な支援を行っている。ニットーが実証実験の場を提供したのも、この枠組みによる。

アルケリスからニットーまでの自動搬送の模様[クリックで再生]

 Hakobotはニットー本社工場で製造された金属部品などを近隣のアルケリスへ自動搬送する。なおアルケリスとはニットーからスピンオフして設立された会社で、立ち仕事をサポートするウェアラブルアシスト機器などを開発している。本社の場所も、もともとはニットーの敷地だった。

 ロボットを使った自動搬送により、従来は人が車両や台車を使って行っていた1日数回程度の搬送業務を省力化し、業務負担を削減することを目指す。削減できた工数は製品加工などの本来業務に充当することで、工場全体の生産力向上を目指すというのが実証実験の趣旨である。

自律走行実験中のHakobot 自律走行実験中のHakobot[クリックで拡大]

 なお今回の実験では、警察庁の定める「歩道走行型ロボットの公道実証実験に係る道路使用許可基準」の区分8(みなし歩行者)として、近接での安全確認と監視を伴う形で実施され、路上駐車回避など一部のリルートについては手動のリモート操作で行った。

 将来的には、自動運転遠隔オペレーターによる監視と組み合わせる形を想定しており、実運用時のロボットオペレーションは工場の総務部などでデスクワークを行っている人が担うことをHakobotとしては想定している。

今回の実証実験で運んだ部品はボルト 今回の実証実験で運んだ部品はボルト[クリックで拡大]

 工場地帯では信号のない横断歩道も多い。そこで横断歩道の手前で車両を自動的に停止させる「イベント」をシステム的に設定する。その後、遠隔地にいるオペレーターがカメラ映像を通じて周囲の安全を目視で確認し、進行の可否を判断する運用が想定されている。

走行ユニット自体には前後の区別がない構成 走行ユニット自体には前後の区別がない構成[クリックで拡大]

搬送作業を自動化し、人は加工に専念できる環境実現へ

 Hakobotの特徴はニーズに応じて荷室がカスタマイズ可能な点だが、荷物をどこからでも積みやすいように現在も試行錯誤中だという。また今回のデモを見ても、稼働中に「ベースとなる待機場所をちょっと動かしたい」とか「通常の台車のように運用したい」といったニーズはありそうに思えた。そのあたりの細かい点については今後改良を続けていくとのことだった。

荷室部分はまだまだ改良中 荷室部分はまだまだ改良中[クリックで拡大]

 これまでの実証実験によって、積雪など多少の環境変化にも建物などの静的特徴を認識することで安定した自律走行が可能であることは確認しているという。

 今後は2026年夏ごろをめどに公道走行可能な遠隔操作型小型車の安全基準適合審査を取得し、すでに付き合いのある大阪の協力企業への本格導入を皮切りとして、さらに近隣の中小企業への普及を目指す。

ニットー 代表取締役でアルケリス CTOの藤澤秀行氏 ニットー 代表取締役でアルケリス CTOの藤澤秀行氏

 今後の法改正に合わせて低速と中速のハイブリッド型への対応も視野に入れているが、案外、低速モデルの方が現実的ではないかとも考えているとのことだった。

 製造業の現場では、どの会社でも人手不足と高齢化が深刻化している。今回、実証実験の場と機会を提供したニットー 代表取締役 兼 アルケリス CTOの藤澤秀行氏は「こういった新しい便利な技術には普及してもらいたい。搬送作業を自動化し、従業員がより専門的な加工作業に専念できる環境を実現する必要がある」と期待を示した。

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