サザンに出てくる“Harbour”で「LOOKOUT」な夜間航行を試す船も「CASE」(1/3 ページ)

小型船舶向け航行支援システム「LOOKOUT」の航行デモを乗船体験した。横浜港内における夜間航海という、見張り負荷が高まりやすい条件下でLOOKOUTがどのように周囲状況を提示し、実運用に近い環境で操船判断がどこまで機能していたのかを見ていく。

» 2026年01月28日 08時00分 公開
[長浜和也MONOist]

 近年、船舶運航の安全性向上は大型商船だけでなく、小型船舶における見張り支援/操船支援の領域でも重要な課題となっている。その背景には、港湾交通の複雑化や夜間航行条件の厳しさがある。こうした状況を踏まえ、小型船舶向けに開発されたシステムが「LOOKOUT」だ。

 LOOKOUTは、単にカメラ映像を表示するだけのツールではなく、複数のセンサー情報を統合した“状況認識レイヤー”を中核として構築されている。これにより、航行の基準となる周囲の物標や他船舶を検出し、リスクの高い状況を早期に警報として提示するだけでなく、必要に応じて避航提案までを支援する機能を備える。

LOOKOUT LOOKOUTはカメラ画像にGPSやAIS(自動船舶識別システム)、電子海図などから読み取った情報をオーバーレイで表示する航行支援ソリューションだ[クリックで拡大]
LOOKOUTの構成 LOOKOUTは情報処理を担う本体端末「LOOKOUT Brain Pro System」と専用のカメラモジュール「LOOKOUT Camera」で構成され、UIデバイスとしてフルHD表示可能なタブレット端末と接続する[クリックで拡大]

 特徴的なのは、こうした支援機能が国際航路標識規則(COLREG)という法規要件を前提とした設計である点だ。単眼深度推定や方位推定、さらには係留岸壁や桟橋の検出とトラッキングといった技術要素を統合することで、船舶が順守すべき行動規則の下でのリスク評価と支援を可能としている。

 今回は、実際にLOOKOUTを搭載した船舶による航行デモに乗船し、横浜港内における夜間航海という、見張り負荷が高まりやすい条件下でLOOKOUTがどのように周囲状況を提示し、実運用に近い環境で操船判断がどこまで機能していたのかを、実船デモの様子を通じて見ていく。

デモに用いたのはこんな船

 今回のデモに用いられたのは、ヤマハ発動機のパワーボート「UF23III」だ。全長23フィート(約7m)級の比較的コンパクトな船体を持つウォークアラウンドタイプで、フィッシングや港内クルージングなど、多用途での運用を想定した設計が特徴だ。操舵席周りを含め、デッキ上を歩いて回り込める構成となっており、小型艇ながら作業性と見通しを確保している。

デモで使用した「UF23III」 デモで使用した「UF23III」。ちなみに、デモの会場となった「UYフラッグ」はサザンオールスターズの「思い出のスター・ダスト」の一節「波音に浮かび上がる Harbour Light」の“Harbour”であったりする(Star Dustは閉店したが建物はまだ残っている)[クリックで拡大]

 船体はFRP製で、全幅は約2.3m。港内での取り回しやすさと、一定の復原性を両立したサイズ感といえる。搭載されていたエンジンはスズキ製の4サイクル船外機で、出力は140馬力。23フィート級としては余裕のある出力を備え、港内での低速航行から巡航速度域まで幅広く対応できる構成だ。最大搭載人員は10人で、今回のようなデモ航行においても、関係者や取材者が同乗できる余裕があった。

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