東レは、大阪府内の下水処理場に設置されたバイオガス製造設備において、バイオガスからCO2と水分を同時に除去できるオールカーボン製のCO2/メタン分離膜の実証に成功した。
東レは2026年1月9日、オールカーボン製のCO2/メタン分離膜を用いて、大阪府内の下水処理場に設置されたバイオガス製造設備でCO2と水分の同時除去に成功したと発表した。
オールカーボン製のCO2/メタン分離膜は、中空糸状の多孔質炭素繊維の支持体表面に、薄い炭素膜の分離機能層を形成した二層構造により、高い分離性能を有している。支持体を極限まで細径化することで膜モジュールの軽量化/コンパクト化が可能となる。
バイオガスとは、酸素のない環境で有機物を発酵させると発生する、CO2とメタンを含む混合ガスだ。CO2などの不純物を分離するバイオガス精製により、燃料のバイオメタンとなる。
近年、世界的なエネルギー不足や脱炭素化の流れを背景に、より高効率なCO2分離技術が求められている。
一方、東レはこれまで、化学的な高い耐久性と優れた分離性能を持つオールカーボン製のCO2/メタン分離膜の開発を推進し、天然ガスやバイオガスの精製、工場排ガスからのCO2分離などへの適用を目指してきた。この中で、廃棄物などの発酵により生成するバイオガスから不純物を分離してバイオメタンを得るバイオガス精製では、主な不純物であるCO2以外にも、水分などの除去が必要となる。
しかし、既存の膜分離プロセスで使用される高分子膜やゼオライト膜は、耐久性の問題から吸着剤などで事前に水分を除去する工程が必須な他、メタン精製設備の大型化とコストの増大が課題だった。
そこで東レは、大阪府内の下水処理場に設置されたバイオガス製造設備において、オールカーボン製のCO2分離膜でCO2と水分を同時に除去できることを実証した。これにより顧客からの要望である、水分を除去する工程を簡素化したコンパクトなバイオガス精製プラントを実現できるとともに、既存の膜分離膜技術を使用した場合と比べて、水分除去コストが約70%削減できることを確かめた。現在、顧客と連携して、1年間の長期実証を進めている。
また、今回の技術はバイオガス以外にも天然ガス精製の効率化や、工場排ガスなどからのCO2分離/回収と、CO2の回収、有効利用、貯留を組み合わせた技術(CCUS)への展開も期待される。
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