MONOist 改めて標準業務一覧策定の狙いを教えてください。
阿部氏 近年、日本でもMESの市場が立ち上がり、研究会にいたMESのベンダーもいろいろな会社からRFP(提案依頼書)を受け取るようになったが、そのRFPの内容に課題があると感じた。
それは以前、米国のMESA(Manufacturing Enterprise Solutions Association)が発行した、MESの11機能というフレームワークが背景にある。
その11機能では、例えば「生産資源の配分と監視」といっても、生産資源が具体的に何を指すのかはっきりと分からず、また、「作業のスケジューリング」が現場での細かな作業に関するものなのか、もしくは生産スケジュールに当たるものなのかも不明だ。
11機能自体、30年ほど前に作られた仕組みであり、MESAでもその後更新したものを出していて、企業システムと制御システムの統合を目指すISA-95という国際規格なども生まれている。だが、日本ではいまだに11機能がさまざまなWebサイトで紹介されている。
佐藤氏が指摘したように、工場に求められるものは当時と比べて大きく変化している。そこで、そういった11機能に代わる新しいフレームワークを自分たちで作ろうと、今回の取り組みが始まった。まず、2024年6月にパブリックコメントを募集するための第1版を出し、その後のアンケート結果などを受けて今回の発表に至った。
基本的には、組み立て加工(ディスクリート)系を前提としている。
標準業務機能リスト(Excel)では、工場の業務を400項目ほど洗い出し、MES/MOMの対象機能になり得るのかなど、MESでできない場合はどのようなやり方があるかなどを紹介している。これらを基に、“この業務はMESでやる”もしくは“この業務はMESでやる必要はない”といった整理に使ってもらいたい。
工場の業務を12種類に分類して、それぞれの業務とMES/MOMとの関係性をまとめた関連図も作った。MES/MOM導入検討の流れやよくある悩み、企画/構想フェーズの想定アクティビティーなどをまとめたクイックスタートガイドも作成した。2026年の夏ごろをめどに、標準業務一覧を作成したメンバーによるMESに関する書籍の出版も予定している。
佐藤氏 製造業では設計領域ではIT投資はそれなりに行われてきた。ただ、工場はコストセンターなので、“MESを入れるといくらもうかるのか”ということが、導入の可否を判断する物差しになりやすい。CADやERPでは、そういうことはあまり聞かれない。また、ロボットやAGV(無人搬送車)なら、導入効果も計算しやすい。MESを導入することで事実とデータに基づいて判断できるようになれば、判断の質は向上するが、その導入効果を計算するのは難しい。
阿部氏 昨今の展示会では、今日の製造ラインの状況についてAIに聞くと答えてくれるというような将来構想のデモも見られるが、それもMESのデータがなければAIは答えられない。今後、製造業でAIをフル活用していくためにも、MESは重要になってくるだろう。ERPやCADと同じように、MESも工場の大切な“インフラ”として捉えていただきたい。
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