IDECは簡単AMR開発キットで自動化促進 PLC制御も可能：IIFES 2025

IDECは「IIFES 2025」において、国際安全規格に適合したAMRを素早く構築できる開発キット「SWD Build KIT」を披露した。

[坪田澪樹，MONOist]

　IDECは「IIFES 2025」（2025年11月19〜21日、東京ビッグサイト）において、国際安全規格に適合したAMR（自律走行搬送ロボット）を素早く構築できる開発キット「SWD Build KIT」を披露した。

会場で披露したSWD Build KIT［クリックして拡大］

　SWD Build KITは、AMRに必要な安全／駆動／制御機能をユニット化している。内蔵のIPC（産業用PC）には、パナソニックアドバンストテクノロジーの自律移動ロボット向けソフトウェアパッケージ「@mobi（アトモビ）」をセットアップ済みで、PLC（プログラマブルロジックコントローラー）のラダープログラムによるAMRの制御も可能となっている。同製品に付属している制御ボックスは配線済みであるため、各ユニットを車体に取り付けてコネクターでつなぐだけでオリジナルのAMRを構築できる。

SWD Build KITの内容について［クリックして拡大］出所：IDEC

　SWD Build KITは、完成品のAMRを導入する時に現場でのカスタマイズが必要になることが多いという声に対応するために開発された。

　「基本的に車体自体は顧客に製作してもらっているが、あらかじめ完成した車体が必要な場合は、ミスミとのコラボレーションによって開発したアルミフレームの車体を購入できる。さらに、ミスミが提供する『MISUMI FRAMES』という筐体設計ソフト上で車体の図面を展開し、カスタムモジュールなどを加えて購入できる」（AMRの担当者）

　また、SWD Build KITは走行環境に合わせて、ナビゲーション技術として2D SLAM（Simultaneous Localization and Mapping）と3D SLAMを選択できる。2D SLAMは平面でしか環境を捉えることができず、現場でパレットの移動や台車の場所が時間帯で変わるなどの変化が発生すると、自己位置をロストして停止してしまうことがある。

　一方、3D SLAMは平面上の環境が変わったとしてもほとんど影響を受けずに走行できるため、近年では製造業の顧客で利用者が増えている。「顧客は環境やコストに合わせてSLAM方式を選択できる。周囲の環境に左右されずに運用したいというニーズに対しては、磁気テープとハイブリッド運用ができるオプションも提供を予定している」（同担当者）。

SWD Build KITのオプション内容［クリックして拡大］出所：IDEC

　IDECのAGV（無人搬送車）／AMRソリューションのコアとなるのが、同社と戦略的パートナーシップを締結したフランスのスタートアップez-Wheelが開発したSWD（Safety Wheel Drive）だ。同製品のコンセプトとして、1つのホイール／モーターユニットの中に複数の機能を統合している。具体的には、DCプラシレスモーターや遊星歯車、ベアリング、ホイールタイヤが一体になっており、内部基板上には安全エンコーダー、安全モーション監視回路、モータードライバが組み込まれている。

SWDの構造［クリックして拡大］出所：IDEC

　同製品の安全機能はAGV／AMRの国際安全規格である「ISO 3691-4」に準拠している。同規格は、人と協働するロボットに対して、速度制御や安全停止機能、障害物検知機能などのモーションを適切に監視するように規定を定めている。この安全要件を満たすためには、安全エンコーダーや安全PLCによるモーション監視、安全制御されたブレーキなどコンポーネントを用意する必要があった。

　SWDはこれらの機能を1つのホイール／モーターユニットに全て統合しているため、国際安全規格に関する問題を解決し、AGV／AMRの開発を迅速化できる。IDECは同製品の特徴である統合性を生かし、AMRの開発を支援するSWD Build KITを提案／販売している。

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