今回の資本業務提携に併せて、ネクスタはシリーズBラウンドのファーストクローズで約8億円の資金調達を発表している。この資金調達の中核となっているのがリコージャパンとの資本業務提携契約による出資だ。
2017年創業のネクスタは、製造現場に特化したオーダーメイドのシステムの受託開発を経て、製造業の受注から計画、発注、生産、在庫など工場生産にまつわる一連の業務を効率化するクラウドサービス「SmartF」を開発し展開を拡大してきた。同社 代表取締役の永原宏紀氏は「新卒でキーエンスに入社して1500社以上の工場に訪問し、システム受託開発を経験する中で驚くほどのアナログな現場を見てきた。しかし中堅中小製造業のシステム化は全く進んでいない。これは、それぞれの現場で非常に複雑業務フローがあり、属人的に作られた複雑な帳票データが多数あるため、システム化には個別カスタマイズが当たり前になっており、その見積もりが高額になって導入に踏み出せないことに要因がある。さらに、システムを導入したとしても、それぞれの現場への落とし込みが難しくうまく運用できないことも課題になっている」と指摘する。
SmartFはこのような現状を変えるべく、学生時代にシステムエンジニアを経験したこともある永原氏が自身で開発したクラウドサービスだ。先に挙げた、中堅中小製造業の工場生産のシステム化における「導入したくても高額で導入できない」「導入してもうまく運用できない」という2大課題を解決すべく、個別カスタマイズが不要な機能性と拡張性を備えたプロダクトと、導入支援を推進する提案力と手厚さを特徴としている。「製造業の現場をよく知っているからこそ開発できたのがSmartFだ。工場の生産管理をここまで広くカバーできているサービスは他にないだろう」(永原氏)。
中堅中小製造業がSmartFを導入する際のメリットになるのが、スモールスタートと早期導入が可能な点になるだろう。既存のシステムベンダーによる提案内容だと、初期導入費用が1000万円以上で、導入に1年はかかるのが一般的だ。SmartFは月額5万円から導入が可能なサブスクリプションサービスとなっており、導入期間も4〜6カ月で済む。永原氏は「従業員数が50人以上の企業の場合、SmartFの複数機能が必要になるため費用は増えるが、初期導入費用は数百万円のレベルで抑えられる」と説明する。
また、SmartFはクラウドサービスである特性を生かし週1回のペースでアップデートを行い機能充実を続けている。会見と同日には、新機能として販売管理とSFA(営業支援システム)管理の機能追加を発表しており、2025年3月までには経営ダッシュボードも加えて、生産管理システムから製造業の営業DXもカバーする基幹システムとしての役割も担っていく考えだ。
SmartFの展開によりネクスタの業績も右肩上がりで拡大しており「売上高は2025年度で5億円以上、2026年度は倍増となる10億円以上と倍々で伸びている状況だ」(永原氏)。従業員数も2023年3月期末の19人から、2025年3月期末には約6倍の120人に増えている。SmartFの導入企業数も「数百社に達している」(同氏)という。
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