機械設備による加工の工程では、自動送りをかけたまま加工が完了するまで、ただ、その状況を見ているだけの作業者が多いものです。現場の総合稼働率を評価する場合には、機械設備の稼働率と作業者の稼働率の両方を評価しなければなりません。
機械設備をフル稼働させるためには、1台の機械に対して作業者1人を割り当てればよいのですが、この場合、作業者は部品が自動送りで加工されるのを眺めている時間が多くなります。反対に、作業者の稼働率を上げるためには、多くの機械設備の台数に対して作業者を1人割り当てればよいのですが、その場合は機械設備の稼働率が低下してしまいます。
以上のように、作業者がある機械設備の作業中に、他の機械設備が加工を終了し、作業者がその機械設備に対応できないために生じる時間ロスの現象を「機械干渉(machine interference/machine-operator interference)」といいます。また、作業者と機械設備の稼働率が両立できない関係性(トレードオフ:trade-off)から、作業者に何台の機械設備を受け持たすべきかを決定する問題を「経済的受け持ち台数決定問題」といいます。
この問題は、「同一種類の機械設備を複数台受け持つ場合」「異なる種類の機械設備を複数台受け持つ場合」「加工順に配置された多工程の機械設備を受け持つ場合」の3つの場合が考えられます。
同一種類の機械設備の複数台持ち作業に関しては多くの研究が進められてきました。しかし、異なる種類の機械設備を複数台受け持つという条件において、NC(Numerical Control)制御の工作機械を複数台受け持っている場合、機械設備ごとに異なった部品を同時に加工する「多数台持ち作業」があります。一方、多くの工程の機械設備を受け持つ場合を「多工程持ち作業」といい、先述の多数台持ち作業とは区別しています。
同一種類の機械設備の複数台持ち作業における意思決定問題の基本形には次の3つがあります。これらの問題は、一般的には行列理論を使って解析されます。
このように、マンマシンチャート分析には、子細にみれば多くの問題や課題が含まれていますが、機械設備の自動運転時間と作業者の手扱い時間が決定付けられる場合は、マンマシンチャート(人・機械図表)を描くことによって最適な受持ち台数を決定することができます。これらの所要時間の変動が無視できない場合は、先述の通り、待ち行列理論やシミュレーションによって最適な作業者の配置人員を決定することになります。
あらためて、マンマシンチャート分析とは、機械設備を使用する作業において、作業者と機械設備の両者間の時間的経過における双方の関連性を分析し、作業者の手待ち時間(人間干渉時間)および設備の待ち時間(機械設備干渉時間)を解析します。分析結果の用途としては、機械設備の稼働率向上、作業効率の向上、製造リードタイムの短縮などに活用します。
マンマシンチャートは、作業者と機械設備の作業連携した時間的な動きを分析し、これを図示したものです。経過時間のデータは、ストップウォッチ法により作業者および機械設備別に経過時間を測定します。
図示化では、以下の内容を表示します。
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