国内の新設住宅の着工戸数の減少やリフォーム市場の拡大といった市場背景から、企業としての持続的成長を続けるために、YKKは事業領域の拡大と競争力強化に向けた取り組みが必須だった。一方、PHSはYKK APが得意とする住宅の断熱/開口部を含めた総合的な製品/ソリューションのさらなる高度化やサプライチェーン全体での競争力強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)活用に向けて、会社として規模を伴う継続的な投資を必要としていた。そのため、事業のノウハウとリソースを持ち、事業ビジョンを共有できるパートナーを探していた。
これらの背景から両社は互いの強みを生かして、新たな事業体制を整えるために株式譲渡契約を締結し、戦略的パートナーシップを結んだ。山田氏は「両社で連携することにより、建物の外周りから内周り商材を網羅でき、まさに総合建築資材/設備メーカーになる。加えて、これらの商材を顧客までワンストップで提供できるようになる」と強調する。
両社が持つ販売ネットワークを共有/融合することで出口戦略を強化し、リフォームや新設住宅のシェアアップを狙うことができる。建築資材のメインルートを大幅にカバーでき、住宅設備/資材販売店の加盟店数については2社合計で約4000店になる。また、工事関連のエンジニアリング事業でも商材の幅を広げることができ、さらなる事業領域の拡大を可能とする。
パナソニックのブランドについては、顧客に親しまれていることもあり、継続して利用することを想定している。パナソニックHD 取締役/執行役員 グループCSOの隅田和代氏は「YKKと一緒に事業貢献をしていくという意味で20%の株式をパナソニックHDに残している」と語る。
今後の展開としては、ほとんどの商品についてYKKグループ内で企画/開発/製造までを実施し、YKK APのカーテンウォールやPHSの真空断熱ガラスを組み合わせるなど、両社の製品を活用した課題解決ソリューションの展開していく。また、1つの窓口での提案から施工、アフターフォローまでのサービス提供を目指す。
山田氏は「YKK APが展開するヘルスケア事業にトイレのセンシング技術を組み合わせ健康に関する情報を顧客に提示するといったことが可能になる。住宅そのものに新しいソリューションをアドオン、インストールしていくイメージで加速的に進めていきたい」と述べている。
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