パナソニック ホールディングスは、「統合報告書」「サステナビリティサイト」「サステナビリティ データブック」の公開に合わせ、環境対策について一部報道陣の合同取材に応じた。
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2025年8月28日、「統合報告書」「サステナビリティサイト」「サステナビリティ データブック」の最新版を公開した。これに合わせ、環境対策について、一部報道陣の合同取材に応じた。
パナソニックHDでは「サステナビリティ経営委員会」の委員長をグループCEOの楠見雄規氏が務めるなど、サステナビリティ経営に力を入れている。2022年には、グループ全体の環境ビジョンとして「Panasonic GREEN IMPACT(PGI)」を発表し、自社のバリューチェーンのCO2排出量を1.1億トン、社会の排出量削減貢献量で約1億トン、新技術や新事業による社会への排出量を1億トン削減する目標を掲げている。
さらに、それを具体的に推進するために2030年までのマイルストーンとして環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN(GIP)」を設定し、具体的な実現に向けた数値目標とその進捗管理を行っている。2030年には自社排出のゼロ化達成に加え、約1億トンの削減貢献を目標とし、まずは2024年度までの3カ年でCO2排出量削減や資源循環についての数値目標達成を目指した。2025年度は、「GIP2024+1」として現在のKPI項目を生かした新たな目標を追加している。
GIPの2024年度の実績を見ると、自社バリューチェーンでのCO2排出量の削減については目標未達となった。目標では1634万トンの削減を目指していたが、実際には3811万トン増加したという。
これに対しパナソニック オペレーショナルエクセレンス 品質・環境本部 部長の園田圭一郎氏は「実質的にはCO2排出量は増加してしまったことになるが、これは各種規制や国際会議での議論などを通じ、CO2排出量の計算に加える対象範囲が増えたことが大きな要因だ。同じ対象範囲で比較した場合、1901万トンの削減となる」と説明する。
実際に「GHGプロトコル」のスコープ1、スコープ2の領域ではCO2排出量削減が順調に進んでいる。CO2排出量実質ゼロとなる工場は2024年度までに37拠点で実現する目標だったが、45拠点で達成した。CO2排出量も26万トンの削減目標に対し、83万トンの削減を実現している。
例えば、マレーシアのエアコン工場(パナソニックAPエアコンマレーシア)では、太陽光パネル9461枚を設置し、発電容量5.2MW規模の太陽光発電システムを導入した。これにより年間発電量は約5900MWhとなり、同拠点の使用電力量の20%を賄うという。CO2排出量は年間3912トン削減できる見込みだ。
水素を活用したエネルギーソリューションである「Panasonic HX」の海外展開も本格化している。Panasonic HXは、純水素型燃料電池と太陽電池、蓄電池を高度なエネルギーマネジメントシステムで連携制御するエネルギーソリューションだ。草津工場の一部で導入した後、2024年12月には英国ウェールズのパナソニックマニュファクチャリングイギリスに導入し、電子レンジ組立工場の電力を再生可能エネルギーで賄うことに成功した。また、2025年1月にはドイツ・ミュンヘンのオフィスビルにも導入しており、積極的な実証運用に取り組んでいる。
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