騒音下でもはっきり声が届く 村田製作所がマスク装着型デバイスを披露CEATEC 2025

村田製作所はCEATEC 2025において、マスクの振動を拾って正確な音声を相手に届ける「mask voice clip」を披露した。

» 2025年10月16日 07時15分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 村田製作所はCEATEC 2025(2025年10月14日〜10月17日、幕張メッセ)において、マスクの振動を拾って正確な音声を相手に届けるマスク装着型音声入力デバイス「mask voice clip」を披露した。同製品は「CEATEC AWARD 2025」で「デジタル大臣賞」を受賞している。

mask voice clipのデモンストレーションの様子。話者の周辺環境で大きな音声を流すと、通常のマイクはその音声を拾ってしまうが、mask voice clipは全く反応をしなかった[クリックで再生]

 mask voice clipは、クリップタイプの製品であり、市販のマスクを挟む形で使用するクリップ形状のマスク装着型デバイスである。村田製作所独自の圧電フィルムセンサー「Picoleaf」を内蔵しており、マスク表面の微細な振動を直接検出できるようになっている。そして検出した振動を電気信号に変換し、さらに音声データとする。これにより、騒音環境や複数話者がいる状況でも話者本人の声だけを認識可能になっている。

 「次に来る入力インタフェースは何かという点について、われわれは研究を進めており、その中の1つとして音声に注目している。音声入力は非常に直感的であり、ハンズフリー入力として今後普及すると考えている」(村田製作所の担当者)

展示会場で披露したmask voice clip 展示会場で披露したmask voice clip[クリックして拡大]

 マスクを挟むことで使用ができるので着脱が非常に容易であり、音声データの抽出をクラウドに依存せずオフライン環境でも安定動作が可能である。空気振動を検知しないことによって周囲の騒音を物理的に遮断できる強みもあり、ヘッドセット型のマイクのように周囲の騒音が混入することや、咽喉マイクのように声の明瞭さが損なわれることがなく、高精度に話者の音声データのみを取得できる。

 これらの特徴を生かして、医療や製造/保守点検などマスク装着が可能な現場で幅広く活用できる。具体的には音声によるハンズフリー操作や作業指示/報告の音声入力、現場状況の音声記録がmask voice clipを活用することで可能になる。

mask voice clipの特徴 mask voice clipの特徴[クリックして拡大]

 同社の展示ブースでは、実際にmask voice clipを活用したデモを実施しており、同製品の音声入力の正確性を確認できる。「会話中に騒音が流れ続ける環境でも継続して音声を入力し続けることができる。この技術は会話を円滑かつ確実に記録できるので、今後の活用の広がりが期待できる」(同担当者)。

展示会場のmask voice clipデモ画面 展示会場のmask voice clipデモ画面[クリックして拡大]

 村田製作所は、mask voice clipを可能にしたPicoleafの高い感度を他分野に応用していくことを検討している。また、振動以外の情報から音声を認識できる方法も研究している。「例えば、口の動きを学習させて、それを音声として認識できる技術を現在研究している」(同担当者)。

⇒その他の「ウェアラブルニュース」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
Special SitePR
あなたにおすすめの記事PR