国産ヒューマノイド開発のKyoHAに参画企業続々、2026年春にベースモデル完成へロボット開発クローズアップ(3/4 ページ)

» 2025年10月10日 08時00分 公開
[松永弥生MONOist]

ヒューマノイド開発が海外部品に依存している現状に強い危機感

村田製作所 執行役員の川島誠氏 村田製作所 執行役員の川島誠氏

 続いて行われたトークセッションでは、オンラインで参加した村田製作所 執行役員の川島誠氏が、ヒューマノイド開発が海外部品に依存している現状に強い危機感を示した。

 川島氏は「ありあわせの中国製部品を組み合わせれば、海外のヒューマノイドに追い付くことはできるだろうが、それでは未来はない」と述べる。日本独自のサプライチェーン再構築が必要であり、村田製作所が長年培ってきた通信/センサー技術を純国産ヒューマノイドに投入し、海外勢を追い越す存在を目指す方針である。

OIST 教授の北野宏明氏 OIST 教授の北野宏明氏

 同じくオンラインで参加したOISTの北野氏は、国際的な視点から「研究現場では既に中国製プラットフォームが標準となりつつある」と警鐘を鳴らす。研究用の低価格ヒューマノイドが世界の大学に普及し、AI研究の基盤を握っている現状に、日本が参画しないリスクの大きさを指摘。「このままでは日本はデータと実装の両面で取り残される」(同氏)とし、産業界と学術界が共同で国内のサプライチェーンを立て直す必要があると訴えた。同氏は「まず目指すのはロボカップ。このヒューマノイドリーグのプラットフォームになって、世界中の研究者に使ってもらいたい」と意気込む。

早稲田大学大学院 情報生産システム研究科 教授の橋本健二氏 早稲田大学大学院 情報生産システム研究科 教授の橋本健二氏

 早稲田大学大学院 情報生産システム研究科 教授の橋本健二氏は、自身が2003年からヒューマノイド研究に携わり、20年以上の経験を積んできたと前置きした上で、以下のように述べる。

「しかし近年、日本のヒューマノイド研究者の数が急速に減少していることに強い危機感を抱いている。学会でも人型ロボット関連の発表は年々減少しており、このままでは絶滅しかねない。本来はもっと早く産学連携の枠組みを作るべきだったが、欧米や中国の勢いを考えると今回が最後のチャンスではないか」(橋本氏)

 また、大学の競争的資金だけでは1台のロボットを製作するのが精いっぱいであり、設計や実験も慎重にならざるを得ない現状がある。これに対し、KyoHAのような一般社団法人という枠組みの中で要素技術を持つ企業と協力すれば、設計/製作/実験/改良のサイクルを繰り返し回すことが可能になり、精度向上につなげられる。

 橋本氏は「いきなり完璧なものは難しいが、温かく見守っていただきながら、追い付き追い越す気持ちで挑みたい」と述べ、日本が再びヒューマノイド開発で主導的な立場に立つ意欲を示す。

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