テムザック 代表取締役議長の高(正しい漢字ははしご高)本陽一氏は、KyoHAが描くヒューマノイド開発の具体像を説明した。
第1段階として、2026年3月を目標に身長120cm程度の「ベースモデル」を完成させる。このベースモデルはヒューマノイドの基礎構造を確立すると同時に、技術的課題を洗い出すための初期プロトタイプとなる。開発の狙いは、研究/教育の基盤として長期的に改良を重ねられる共通プラットフォームを国内に築くことにあるという。
ベースモデルの完成後は、2つの方向に進化させていく構想である。
1つは「パワー重視モデル」で、災害現場や建設/土木といった過酷環境での活動を想定した高出力型である。50kg級の重量物を持ち上げる設計を目指し、人命救助やがれきの撤去といった、人間では困難な作業を代替することを狙う。
もう1つは「俊敏性/機能性重視モデル」で、成人サイズの体格を持ち、サッカーなどの俊敏な動作や多様な機能的動作を実現するモデルである。国内研究者が使用できる国産モデルとすることで、AIとロボティクスの研究基盤を確立し、将来的にはロボカップなど競技への提供も視野に入れる。
高本氏は「まず小型のベースモデルを作り、そこから災害対応型と研究用モデルへと発展させる段階的アプローチこそ現実的であり、日本独自の身体を持つヒューマノイドを築く道である」と語る。社会実装や研究の基盤となるモデルを製作し、新たな市場を切り開いていく。
また、OIST 教授の北野宏明氏は、ロボカップにおける多様なリーグの存在について触れた。北野氏は「サッカーのヒューマノイドリーグだけでなく、@HOMEや@Work Leagueといった競技領域でも成人サイズのロボットは必要になる。研究や教育に使える国産モデルがあれば、それらの分野にも横展開できる」と述べ、社会的な実装に直結する応用の幅を広げることの重要性を説明した。
北野氏によれば、成人サイズロボットが研究競技だけでなく生活支援や産業現場でも活躍できる基盤になるため、国産モデルを共有財産とする意義は大きいという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み開発の記事ランキング
コーナーリンク