ラボ作業を自動化するモジュール型システム、組み換え自在で研究開発を加速研究開発の最前線(2/2 ページ)

» 2025年09月12日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]
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ユーザーがモジュールの位置を変更可能となる機能を実装予定

 ろ過/分離用の機能モジュールは、ろ過(減圧ろ過)と漏斗(じょうご)マガジンとなる。ろ過は、減圧環境で液体から固体を効率的に分離する。清潔かつ迅速な処理で、実験や製造工程の精度と再現性を高められる。漏斗マガジンは減圧ろ過するための漏斗を複数保管できるモジュールで、減圧ろ過を利用する際に必須だ。

 補助/汎用装置の機能モジュールはキャッパーやキャスター付きアルミ架台となる。キャッパーは、スクリュー菅瓶やポリプロピレン(PP)ボトルなどのキャップ開閉を自動化する。揮発やコンタミネーションを防ぎ、試料の品質を保持するのに役立つ。キャスター付きアルミ架台は、各種モジュールや装置を安定して設置し、固定するものだ。軽量アルミ製でキャスターも付いており、移動やレイアウト変更も容易だ。

COBOTTA LAB Modulesのデモンストレーション。キャッパーモジュールでキャップが閉められたPPボトルを(左)、容器トレイモジュールに搬送するCOBOTTA(右)[クリックで拡大]
PPボトルにはQRコードが付いており、QRコードで対象サンプルの情報にアクセスできる PPボトルにはQRコードが付いており、QRコードで対象サンプルの情報にアクセスできる[クリックで拡大]

 また、関連製品/オプションとして、粉じんや薬液からCOBOTTAを保護するカバーやエアコンプレッサー、キャスター付きアルミ架台用のステンレス製ベースプレートを用意している。

 デンソーウェーブの説明員は、「用途に合わせて、モジュールを選ぶだけで、COBOTTA LAB Modulesはすぐに導入できる。複雑な設定や設計は不要だ。モジュールの組み合わせや配置は自在で、COBOTTAが走行軸ベースでスライド移動し、各モジュールと連携してさまざまな作業を行える。COBOTTAの利用に当たり、安全策は不要で、限られたラボスペースに無理なく設置できる」と話す。

 COBOTTA LAB Modulesのシステム構成の一例として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)前処理システムを挙げる。同システムは、COBOTTA、IoT Data Share/IoT Data View、Lサイズの走行軸ベース、PPボトル用やメスフラスコ用の容器トレイ、有線ピペット、送液ポンプ、定容、高精度版の電子天びん、標準版の粉体秤量、ボルテックス、キャッパー、Lサイズのキャスター付きアルミ架台で構成される。

 同システムは、HPLCの分析に役立つ試料の調製、分注、キャップ開閉、搬送などの前処理工程を自動化する。

 デンソーウェーブの説明員は、「現状は、用途に合わせたCOBOTTA LAB Modulesの組み立ては当社の従業員が担当する。2026年3月に実装予定のプラグ&プレイ機能により、ユーザーがモジュールの位置を変更可能となる。プラグ&プレイ機能は、どのモジュールの位置やどういった順番で制御システムに接続されているかを、上位のプログラマブルロジックコントローラーに自動で認識させ、システムが自動で再構成される」と語った。

 また、現時点では20種類の機能モジュールが完成しているが、最終的には32種類の機能モジュールが提供される予定だという。

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