アジレント・テクノロジーは、高速液体クロマトグラフ法(HPLC)システム「1260 Infinity III LC」「1260 Infinity III Prime LC」「1290 Infinity III LC」を2024年11月1日に発売する。
アジレント・テクノロジーは2024年10月24日、東京都内で記者会見を開き、高速液体クロマトグラフ法(HPLC)システム「1260 Infinity III LC」「1260 Infinity III Prime LC」「1290 Infinity III LC」を同年11月1日に発売すると発表した。
同社が顧客を対象にHPLCシステムで重視する点について調査した結果、主に「パフォーマンスよりも使いやすさを優先」し、「後方互換性(backward compatibility)は重要」と考えていることが分かった。
前者に関して、近年のHPLCシステムは優れた性能を持っているが、サンプルの分離性能や検出感度をより高めるためには、質量分析計(MS)や多次元HPLC、カラムなどの使用が適している。そのためHPLCシステムには、トレーニングを受けていないオペレーターでも、操作が簡単な点、時間を最大限に活用できる点、トラブルシューティングしやすい点、エラーが起きにくい点、メンテナンスが容易な点が求められている。
後者について、調査対象の顧客は継続使用している分析方法と手順を持つ。そのため、ラボに新たに導入されるHPLCシステムは、ソフトウェアの互換性も含め、既存のラボ環境にシームレスに統合できる仕様である必要がある。
これらのニーズを踏まえて、アジレントテクノロジーは1260 Infinity III LC、1260 Infinity III Prime LC、1290 Infinity III LCを開発した。
同社 市場開発部門 市場開発部LCマーケティングプログラムマネージャーの郡明雄氏は、「各製品の大きな違いは耐圧性だ。1260 Infinity III LCの耐圧性は60メガパスカル(MPa)で、1260 Infinity III Prime LCは80MPa、超高速液体クロマトグラフィーに位置付けられる1290 Infinity III LCは130MPaとなる。つまり、ハイエンドモデルが1290 Infinity III LCで、ローエンドモデルが1260 Infinity III LC、ミドルレンジが1260 Infinity III Prime LCだ」と話す。
いずれの製品も大きな特徴は、「InfinityLab Assist」「レベルセンシング」「サンプル ID リーダー」の3機能を標準搭載している点だ。
InfinityLab Assistはタブレット端末「InfinityLab Assistインタフェース」と「InfinityLab Assist ハブ」から成る。インタフェースは大きくて明るいタブレット端末で手袋を装着したままでの操作に対応し、ハブはこのインタフェースとHPLCシステムをつなぐ役割を果たす。同機能はHPLCシステムの起動や分析準備、シャットダウンなどを時間帯を指定して自動化できる他、HPLCシステムのポンプとオートサンプラーを併用することで、ポンプ内から空気を排出し、送液を安定させる「パージ作業」も自動化可能だ。
さらに、メンテナンスガイド「InfinityLab Assistトラブルシューティング」も備えており、ユーザーがこのガイドにメンテナンスのトラブルを入力すると解決方法が提案されるため、紙のマニュアルで調べる必要がない。InfinityLab AssistトラブルシューティングはHPLCシステムの診断およびテストの機能も搭載している。
InfinityLab Assistを介して、インターネット接続されたWebブラウザからHPLCシステムの状況も確かめられる。Webブラウザからのアクセスはハイパーテキストトランスファープロトコルセキュア(HTTPS)で暗号化されているため情報も漏えいしにくい。
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