130人の声が示すPLCの“現在地” 製造現場が抱える課題、期待を分析PLCの現在 過去 未来(2)(4/5 ページ)

» 2025年09月11日 08時00分 公開
[岡実MONOist]

現場は何を考えているのか、アンケート自由記述詳細

 アンケートでは今後のPLCについて、「今のPLCが進化・拡大していく」「IPCなどに置き換わり、縮小していく」「その他(自由記述)」の中から選択を求め、その理由、自身の考え、期待などを回答者に自由記述してもらった。

「今のPLCが進化・拡大していく」

  • ITとOTの橋渡し役として今後も活用されてほしいため
  • 業界的に保守的なので、国内メーカーは今と変わらない方向性でいきそうな気がします。保守、メンテナンス面での対応コストを考えると、IPCへの移行は難しいと思う
  • 安価な価格帯はPLCが残りハイエンドはIPCになると思う
  • PCは同じモデルを長期在庫保証しないため、PLCを使わざるを得ないのでは?と考えます
  • PLC単体での使用ではなくアクチュエータなどの機器との連携が生じるため、各PLCメーカーそれぞれの戦略の基、進化すると思う
  • IEC 61131系統のPLC、日本のラダー方式のPLCの2系統が別々に進化してほしい
  • ハードウェア、ソフトウェアの一貫サポートの有無、一貫していることによるハードウェアへのアクセスの容易さ、手離れの良さが現行PLCの強み。それを超える利点がIPCに生まれない限りは、置き換えの流れにはつながらないと思う。逆を言えば、現行PLCでは対応できない用途でのIPCの利用は今後も進んでいくと思う。
  • データの重要性が顕在化すれば、センサー連動の適用範囲の発展が期待されると考えています
  • PLCの堅牢性や信頼性に取って代わる物はないので今のPLCが進化、発展していくのではと考えます(保全担当者の中には、制御がPLCでなければ受け入れないといった方も結構います)
  • 処理速度とI/Oが進化して、サイズはスリムになる。IoT化は進むだろう
  • 装置の制御をつかさどる「コントローラー」であり、リアルタイム性は外すことができないため、制御サイクルの考え方やメモリ確保などの方法、それらに対応したプログラミング言語であるラダーなどは普遍的であると考えられる。ラダーがもう少し可読性の良いロジック図に置き換わっていく可能性はあると思う(制御ロジックが記載された図面がそのままプログラムになるイメージ)
  • 5V対応、USBホスト、イーサネット対応、校正
  • 日本だけガラパゴス化が進む
  • 信頼性が違うため
  • 産業用プラントの場合、数十年の稼働は普通なので、その間に生産中止して後継機との互換性が維持できないコンピュータは怖くて使えない。最低限の修正でラダーの使い回しができるPLCでないと、こういう用途では困る
  • 学習やテストが容易でないと感じる。実際の装置で、実践で覚えていく、試していくという方法ばかりでなく、自主的な学習や事前の準備が可能なシミュレーターや支援システムの充実を期待している
  • 設備単体で動かすときはPLCが必要十分で便利だから
  • 自動車部品メーカーに勤務しています。工場では壊れないことと、誰でも簡単に扱えることが求められているように感じます
  • 長年のPLCの使用実績が生産現場で高く評価されていることから、PLCの市場の縮小は考えにくいのではないかと思います
  • RASの観点からソフトウェアPLCは怖いと思うのですが、どうなのでしょうか。PLCはPLCとして残ると思います。もし、複数のPLCを同時に制御するためのオーケストレーションツールができたら面白いですね。コントローラー間ネットワークで間に合ってそうですが
  • PLCは入出力インタフェースが豊富でハードウェア設計の手間が省ける。雑な扱いをしても壊れないし、サポートセンターに質問すれば大抵の課題は解決できる

「IPCなどに置き換わり、PLCの市場は縮小していく」

  • 情報の現場利用が増えることを考えるとPCベースの方が適性があると考えます。また、制御盤の小型化も進むので一つの機器に集約したくなるのは必然だと思います
  • PLCでできることはIPCでできるし、IPCの方が汎用性が高く性能も高いから。よってPLCのシェアは減ると思う。しかし、その減少量は少しだと思う。多くのことはPLCでできるし、簡単な設備ではPLCの方が手軽に作ることができるから
  • PC制御の大規模、複雑なシステムがPLCの開発速度、保守性を持つことで最適な選択になる場面が増えると期待しています
  • 日本はユーザーグループなどのコミュニティーがない。SIというポジションやプログラムの著作権が曖昧。制御エンジニアは絶対的に不足しているのに報酬が低い。PLCメーカーが多すぎる
  • リレーシーケンスやラダーで育った世代が引退し、コードで処理する世代が台頭する
  • 今後ますますPLCとIPCの垣根がなくなり、PLCでIPCで行っていたようなデータ処理をしたり、IPCでPCで行っていたようなモーション制御を実行したりが増えていくと思います
  • ハードウェア主体ではなく、ソフトウェア主体の制御になると思うから
  • 高機能かつ細分化していくと思います
  • コードベースのプログラムからラダーへ変換できるようになれば、汎用LLMでも生成できるようになり、さまざまか自動化が行えるのでは……と妄想しています
  • PLC起因で通信形式に制約が出たり、構成の制限が足かせになることが多く、今後はオープンな規格がメインになると予想。KV-Xのように使い勝手に振り切って既存の市場内で勝負するか、より高度な制御を目指すかに二極化しそう。前者であれば性能面での差別化は難しく、国内は営業力が強みのキーエンス一強になりそう
  • PLCの信頼感は頼もしい。でも、かゆいところに手が届くような柔軟さもほしい。そんなとき、AIやビジョンまでこなせるIPCが、現場でいい仕事してくれるんです
  • 古典的なPLCでは高度なデータ処理を外部のPCに複雑な仕組みで委託しているので、初めからひとまとめにして、PLCとデータ処理のアプリケーションの連携を簡単にしてほい
  • 組み込み機器開発をしていた経験からすると、PLCは開発能力、品質面でPLCメーカーに依存しすぎているように思う。また、これから複雑化する設備においてPLC自体に将来性は感じず、PLCに依存している企業は価格競争になり存続が難しいと思う
  • 制御プログラムは自動生成化していくと思うので、IPCの方が自動生成に向いていると思う
  • 現在の新しい世代が既存のPLCを使いこなしていないし、これから学習する必要がない
  • ユーザーの世代交代が大きいと思う(PLCに慣れているユーザーの減少とPC操作に慣れているユーザーの増加)
  • PLC(IEC 61131)のプログラマーが求人数に対して現状少ないという状況が発生している。欧州勢はそれを見越して汎用的な開発言語での開発が可能なPLCを用意している。また、PLCは選択要素が多く自社で従来使われているものを選びがちだったのが、だんだんとキーエンスなどユーザー訴求の高い製品が選ばれる時代(ボトムアップ)になった。他にもいろいろ要因はあると思うが、PLCという商品としては市場拡大していくが、従来の開発手法から順次置き換わっていくのでないかと思います
  • IoT連動などの観点や、画面(表示器)の拡張性の良さから産業機械では大型の機械はOS搭載のものが主流。同時にPLCを搭載している機械もあるが、システム基板上でシーケンスを行っているものも多い。そのような設備においてはCやC++ベースの専用ロボット言語が使用されている。そのような機器との連動やIoT対応のため、現在メジャーなラダーよりも、PLCでもストラクチャー言語が拡大していくと思う

その他

  • どちらか、というよりは二極化するのではないでしょうか。高機能が要求される局面ももちろんあるでしょうが、「こういうのでいいんだよ」という局面も少なくないと思うため
  • ローコード、またはノーコードでコードが書けないオペレーターでも扱えるようになり、生産ラインのIT/OTの壁が崩れていくような気がします。PLCは今後、クラウドに頼らず現場レベル(エッジ)でAI的な判断や処理を行うようになり、リアルタイム性が向上していくと思う。つまり、“考えるPLC”がその場で判断を下せるようになるイメージですね
  • ハードウェアがなくなり、AIがプログラミング生成、設定。海外でそのようなシンPLC開発を期待。日本国内は保守的なPLCのまま
  • PLCとIPCどちらもほぼ同じになる。求められる機能は同じだから集約していくと思われる
  • モーションやHMIと統合して進化するものの、ソフトウェアPLCが台頭してFA以外の局所的なPLC活用が増えそう(建機など)。IT領域と融合して、PLCコードのgitでのバージョン管理であったり、デジタルツインと融合して実機インストール前にシミュレーション環境でデバッグするなど、エンジニアの属人性解消や働きやすさ向上につながってほしい
  • 使用用途により2極化すると考えています。従来通りの複雑でない処理がメインで堅牢性が求められるPLCと、複雑な制御や機能を求められるIPCに分かれると思います
  • PLC、IPCの垣根はない。基本的にはコントローラーとしては拡大していく
  • どちらとも可能性があり、業種や製造物によると考える
  • IPCのシェアは拡大。しかし、PLCの市場は縮小までとはいかない
  • PLCも進化していくがIPCの機能に追い付く。結局使用者が何をしたいか、PLCソフトウェアはどこが使いやすい、優れているかに左右される(結局好み)

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