130人の声が示すPLCの“現在地” 製造現場が抱える課題、期待を分析PLCの現在 過去 未来(2)(1/5 ページ)

本稿では、34年間PLCと共に歩んできた筆者の視点から、全3回にわたって今、PLCが迎えている重要な転換期を読み解きます。今回は、アンケートに寄せられた130人の声を基に、PLCの現在地を探ります。そして、製造現場がPLCに対して抱える課題、期待を分析します。

» 2025年09月11日 08時00分 公開
[岡実MONOist]

 前編では、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)がリレー制御盤の置き換えから始まり、ネットワーク化やITとの融合を果たしながら、製造現場の共通基盤へと進化してきた道のりを振り返りました。

 しかし、その進化の恩恵は、本当に現場の隅々まで行き渡っているのでしょうか。

 その実態を探るため、筆者は今回、X(旧Twitter)で2025年6月24日〜7月11日にアンケート調査を実施し、PLCに関わる130人の皆さまから貴重な回答をいただきました。今回は、その声を基に、PLCのリアルな「課題」と未来への「期待」を分析していきます。

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最も使用されていたPLCメーカーとは

 まず注目すべきは、回答者の多様性です。職種は設備設計保全、生産技術といった制御の専門家だけでなく、ITエンジニア営業、企画支援にまで及びます(図2)。これは、PLCがもはや一部の専門家だけのものではなく、モノづくりの多様な立場の人々が関わる「共通基盤」であることを示しているといえるでしょう。

 また、10年以上の経験を持つベテランが約4割を占める一方で、経験1〜5年の若手層も約3割にのぼり、幅広い世代の声が集まっていることが分かります(図3)。

図1 アンケート回答者の職種(Q2) 図1 アンケート回答者の職種(Q2)[クリックで拡大]
図2 アンケート回答者の利用/経験年数(Q3) 図2 アンケート回答者の利用/経験年数(Q3)[クリックで拡大]

 主に使用しているメーカー(図3)としては、三菱電機、キーエンス、オムロンの3社が突出して挙がりました。国内市場における、この3社の影響力の大きさを改めて示す結果となりました。

図3 主に使用しているPLCメーカー(Q4) 図3 主に使用しているPLCメーカー(Q4)[クリックで拡大]

 その使われ方は、「生産設備制御」(79.2%)を筆頭に、「検査装置」「搬送ライン」「ロボット制御」など、工場のあらゆる心臓部で活躍していることが分かります(図4)。この結果は、PLCがいかに現代のモノづくりに深く、広く浸透していることの証しでしょう。

図4 PLCの主な用途(Q5) 図4 PLCの主な用途(Q5)[クリックで拡大]
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