国内ポリプロピレン出荷量、2025年は206万1600トンへ回復見込み製造マネジメントニュース

矢野経済研究所は、国内ポリプロピレン市場の最新動向を公表し、輸出分を含む2025年の国内PPメーカー出荷量が前年比3%増の206万1600トンになるとの見通しを示した。

» 2025年09月09日 11時00分 公開
[MONOist]

 矢野経済研究所は2025年8月21日、国内ポリプロピレン(PP)市場の最新動向を公表し、2025年の国内PPメーカー出荷量(輸出含む)が前年比3%増の206万1600トン(t)になるとの見通しを示した。調査期間は2025年5〜7月で、国内PPメーカーを対象に実施。樹脂別、需要分野別の動向、参入企業の戦略、将来展望を整理した。

 2024年は物価高による個人消費の低迷に加え、自動車メーカーの認証不正問題に伴う生産、出荷停止が響き、200万700t(前年比93.2%)と3年連続の前年割れとなったが、2025年は自動車関連の回復などでプラス転換すると予測する。

キャプション 需要分野別ポリプロピレン市場規模推移と予測[クリックで拡大] 出所:矢野経済研究所

 同研究所によると、市場の下押しは2022年に始まった原材料高騰や半導体など部材不足の影響が起点。2023年は需要が持ち直し切らず、2024年は自動車の減産が追い打ちとなった。一方で、2025年はその反動やサプライチェーンの正常化が見込まれ、数量は緩やかに戻る公算が大きい。

 PPメーカー各社の戦略は、量の回復頼みではなく高機能、高付加価値へのシフトが主軸だ。顧客の成形条件最適化や不具合解析、データ提供などのテクニカルサービスを前面に出し、海外材との差別化を図る動きが強まっている。

 サステナブルPPの取り組みも活発化している。現在の販売量はまだ僅少だが、今後はマテリアルリサイクル(MR)、ケミカルリサイクル(CR)、バイオPPの各領域で得意分野が分かれる見通しだ。

 MRでは、銘柄設計やコンパウンド処方、改質技術などに加え、高品質リサイクル材の調達スキームや有力リサイクル事業者との連携力が競争力の源泉となる。CRやバイオPPはマスバランス方式によるクレジット割当てが主流となるため、品質、価格での差異は出にくく、ブランド戦略や資源循環スキームの構築など「選ばれる理由」づくりが勝負どころになるという。

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