ミシュランはサステナブルモビリティの実現を使命として掲げている。現在のミシュラン製のタイヤは、平均で重量の31%に当たる再生可能素材とリサイクル素材を使用している。2030年にはこの比率を40%、2050年には100%にすることを目標としている。日本ミシュランタイヤ B2Cマーケティング部 ブランド戦略マネージャーの秋山考之氏は「今回の新製品は明確にサステナブルモビリティの実現を可能にする製品である」と述べる。
耐摩耗性能を向上したMICHELIN CROSSCLIMATE3シリーズは、タイヤの寿命がより長くなって使用量が減るのでCO2排出量の削減につながる。高い低燃費性能により運転時のCO2排出量も削減できる。また、従来は1台の車両に夏用と冬用で合計8本のタイヤが必要だったが、寿命が長くて雪道も走行可能なオールシーズンタイヤを選択することで、4本のタイヤのみで1年中走り回ることができ、タイヤ輸送時にかかるCO2も削減できる。
オールシーズンタイヤを選択することで、夏用/冬用それぞれでタイヤを用意する必要がなくなるので初期費用を抑えることができ、シーズンごとに発生するタイヤ履き替え工賃や都市部でのタイヤ預かりサービスなどの保管費用の節約もできる。日本の高齢化社会と若者の車離れ、自動車整備士の減少という課題に対しても、シーズンごとのタイヤ履き替えを無くすことで、整備士の負担を軽減できる。また、都市部で突然雪が降ることで発生する交通事故や交通事故を防ぐことにもつながり、物流を止めないことで社会全体の経済面にも貢献する。
ミシュランのタイヤ開発では、今までのノウハウを集めてデータ化してAI(人工知能)に学習をさせるなどデジタル技術の活用が進んでいるという。日本ミシュランタイヤ 製品開発本部 新製品開発部 シニアエンジニアの池田聡氏は「今までのタイヤデザインについては職人気質な部分があり、欧州の熟練デザイナーが一発で良いものを作ってしまい、データや知見が他の地域に共有されていないという状態になっていた」と語る。AIは、若いエンジニアが新しいデザインを考える際に良さそうな候補を提示するなど、最短で効率よくデザインを生み出すツールとして活用されている。池田氏は「ミシュランとして世界中でデータ活用を促進している。ここ数年はその動きがより積極的になっている」と述べた。
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