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» 2022年04月19日 13時30分 公開

金属積層造形のノウハウを群馬発で、ミシュランが共創拠点を太田サイトに設立製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

日本ミシュランタイヤは2022年4月15日、ミシュランタイヤ太田サイト(群馬県太田市植木野町)内に金属積層造形技術の共創型技術拠点「ミシュランAMアトリエ」を開設した。群馬積層造形プラットフォーム(以下、GAM)や産官学の連携を進め、群馬県から新たなモノづくりの姿を発信することを目指す。

[三島一孝,MONOist]

 日本ミシュランタイヤは2022年4月15日、ミシュランタイヤ太田サイト(群馬県太田市植木野町)内に金属積層造形技術の共創型技術拠点「ミシュランAMアトリエ」を開設した。群馬積層造形プラットフォーム(以下、GAM)や産官学の連携を進め、群馬県から新たなモノづくりの姿を発信することを目指す。

photo 「ミシュランAMアトリエ」に設置されたAddUp製の金属3Dプリンタ[クリックで拡大]

「タイヤを超える」を目指すミシュラングループ

 フランスのミシュラングループは世界的なタイヤメーカーだが、タイヤ製品のビジネスである「WITH TIRES(タイヤと共に)」、タイヤ周辺で新たなビジネスを生み出す「AROUND TIRES(タイヤ関連で)」、タイヤ技術を生かして全くの新規事業に取り組む「BEYOND TIRES(タイヤを超越して)」という3つの方向性での事業展開に取り組んでいる。この中で「BEYOND TIRES」の1つが金属積層造形だ。

photo 日本ミシュランタイヤ 代表取締役社長の須藤元氏

 フランスのFivesと共同出資会社AddUp(アダップ)を設立し、金属3Dプリンタ製品を展開している。また、タイヤ製品のトレッド部分の製造に必要な金型の一部を金属3Dプリンタで製作するなど、独自の活用ノウハウなども蓄積している。こうした機器やノウハウを活用し、日本独自の金属積層造形技術の活用手法の確立などにつなげるために新たに設立したのが「ミシュランAMアトリエ」である。

 日本ミシュランタイヤ 代表取締役社長の須藤元氏は「金属積層造形の革新的な技術が製造業を高付加価値産業へ転換する大きなカギを握ると考えている。ただ、ミシュラン単独でできることには限界がある。ミシュラングループではタイヤ製造についての金属積層造形技術のノウハウは保有しているが、その他の製造領域では分からないことも多い。ミシュランAMアトリエをコラボレーションの場として活用することで、日本発で新たな金属積層造形のノウハウを発信していきたい」と語っている。

 特に日本ならではの特徴として期待しているのが「人の技能の再現」だ。「日本の製造現場では高度な技能を持つ一方で、労働人口減少によりこれらの人を中心とした技能をデジタル技術などを使って代替したり補ったりすることが求められている。こうした人の技能を代替していくようなところで新たなノウハウなどを生み出せるのではないかと考えている」と須藤氏は述べている。

金属積層造形をビジネスに、GAMの取り組み

 コラボレーションの動きの1つとして2021年7月に立ち上げたのがGAMだ。GAMは日本ミシュランタイヤと群馬県の製造業である秋葉ダイカスト工業所、関東精機、共和産業、しげる工業、東亜工業、富士部品工業、矢島工業が参加し、次世代のモノづくり技術の確立やイノベーション創出のためのオープンプラットフォームである。

photo GAM 代表理事の鈴木宏子氏

 金属積層造形に関する教育、実用化プログラムの提供、メンバーサロンでの共同研究開発と知見の共有、地元の大学や自治体、公共団体と連携したプログラムの提供を行う。ミシュラングループがグループ内で実施している金属積層造形技術の活用についての教育プログラムを日本語に翻訳して実施する他、ミシュラングループが持つ生きたノウハウと、日本のモノづくりのノウハウなどを組み合わせて、新たな価値創出を狙う。

 GAM 代表理事の鈴木宏子氏(共和産業 代表取締役社長)は「地方の中小製造業にとっては、金属積層造形技術に関心はあっても機器や設備が高価でノウハウもないために活用できないという状況があった。一方でそれぞれの分野でのモノづくりでは強みを持ち、業界共通の課題などを知り尽くしている。日本ミシュランタイヤおよびミシュランAMアトリエを核に、これらを結び付けることで新たなモノづくりの姿などを発信できる」と語っている。

 金属積層造形技術の活用を推進する団体は既に数多く存在するが、GAMでは「現実的に事業に活用する」を目指していることを強調。「既存の団体の多くは、金属3Dプリンタの使い方を共有するだけのレベルにとどまっている。しかし、金属積層造形を事業に活用するには、どういうものを作るかによって、機器の使い方以外にもさまざまなノウハウが必要で、そこが課題となり活用が進んでいない状況がある。GAMではある程度クローズ化した取り組みも行えるようにすることで、個別で事業化が進められるようにしていることが特徴だ」と鈴木氏は述べている。

photo ミシュランAMアトリエのテープカットの様子[クリックで拡大]
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