製造業デジタルマーケティングの課題を「購買フローマップ」で解決する方法間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(30)(3/3 ページ)

» 2025年08月06日 07時00分 公開
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購買フローマップのその他の効用

 最後に、購買フローマップのその他の効用を紹介する。

1.部門を越えたユーザー理解の共有で、営業とマーケティングの連携を強化

 購買フローマップは、ユーザーの情報収集から購買に至るまでの意思決定プロセスを可視化できるため、営業とマーケティングの両部門が「ユーザーが今どのフェーズにいるのか」を同じ視点で理解できるようになる。

 この共通認識があることで、マーケティングはより効果的なリードの創出を目指し、営業はそのリードに適したアプローチを行うなど、施策全体に一貫性が生まれる。結果として、部門横断の連携がスムーズになり、リード獲得から商談化、受注までのプロセス効率が向上する。

2.横断的なワークショップで、現場を巻き込んだ合意形成が可能に

 購買フローマップの設計を、マーケティング、営業、技術、製品開発などの関係者が一堂に会し、ワークショップ形式で進めることで、各部門の立場や視点を交えた活発な意見交換が可能になる。

 それぞれの部門が「なぜこの施策が必要なのか」「ユーザーはこの段階で何に悩んでいるのか」などをディスカッションしながらマップを構築することで、施策への理解度や納得度が高まり、社内での合意形成を得やすくなる。その結果、導入施策の浸透や実行力にも大きく寄与する。

3.部門間の相互理解が進み、営業力/提案力の底上げに寄与

 ユーザーの購買プロセスを軸に各部門が対話を重ねることで、営業担当者はより深い技術的知識を、技術部門のメンバーは市場ニーズや顧客心理といったマーケティングの視点を自然と身に付けられるようになる。

 これにより、単なる役割分担ではなく、ユーザー視点で一貫した情報提供ができる「全社的な顧客対応力」の底上げが期待できる。



 以上、マーケティングの全体像を捉えながら戦略立案と施策選定を行うための有効な手法として、購買フローマップの活用方法を紹介した。購買フローマップを取り入れることで、戦略の全体像を描きながら、部分的/場当たり的な施策に陥ることなく、着実に成果へとつなげていただければ幸いだ。

 本連載「間違いだらけの製造業デジタルマーケティング」は、今回が最終回となる。連載を通じて、少しでも製造業におけるデジタルマーケティングの底上げに貢献できたなら、これに勝る喜びはない。

 もし、自社だけでは解決が難しい課題に直面された際は、どうぞお気軽にテクノポートまでご相談いただきたい。 (連載完)

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筆者紹介

徳山正康(とくやま まさやす)
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手掛けるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。
グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家。


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