まず、制御でいうところのモデリングの定義に従って考えてみる。
今までに主に扱ってきた
の形式で表現され、パラメーターA、B、Cも原理原則で定義されているモデルを第一原理モデリング(ホワイトボックスモデリング)という。
一方、同じ式でパラメーターA、B、Cをデータに基づいて、その入出力データから統計的な方法により定義したモデルをデータベースモデリング(グレイボックスモデリング)と呼ぶ。
さらに、
のように、現象の形態も分からずに、単にパラメーターαを、その入出力データから統計的な方法により定義したモデルを、データベースモデリング(ブラックボックスモデリング)という。
以上の定義に従うと、これまで扱ってきたモデルはホワイトボックスモデリングに分類され、連載第16回の低次元化モデリングで紹介したAI(人工知能)を用いた近似手法はグレイボックスモデリングといえる。
それでは、快適性のモデリングや音のデザインはどうなるだろうか。これはなかなか難しいところだが、グレイボックスモデリングとブラックボックスモデリングの間ということになるのではないか。
このような状況において、どうしたらグレイボックスモデリングに近づけることができるだろうか。一つの鍵は、今までひとを平均的に扱い、個人差をモデルに取り入れてこなかった点にある(快適性のモデリングでは若干考慮されているが)。そこで、音(聴感)および振動について、個人差を表現する方法を考える。
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