なお、オーストラリア保健・障害者・高齢化省は、2024年高齢者介護法の施行に向けて、介護事業者が経験する主なデジタル面での変更点をまとめた「事業者向けデジタル変更ガイド」(関連情報)を公開している。
このガイドの中で、表2は、介護事業者の変更作業時に対象となる主要システムを示したものである。
オーストラリアの介護事業者は、これらのシステムを利用して、2024年高齢者介護法への移行/対応作業をオンラインで完結できる仕組みになっている。
加えてこの変更ガイドでは、事業者−政府間(B2G)開発者ポータル(関連情報)についても触れている。B2Gポータルは、部門による重要な取り組みの一環として、高齢者ケア提供者と政府システム間のデジタル統合を強化することを目的としている。特に、以下のようなアプリケーションプログラミングインタフェース(API)の提供を通じて、安全かつ効率的な情報交換を促進し、提供者が質の高いケアの提供に集中でき、事務的な作業を軽減できるようにしている。
このB2G-APIを利用するソフトウェア製品は、変更に対応してアップデートされ、部門システムへのアクセスを維持できるようにする必要がある。最新の技術仕様は、B2G開発者ポータル経由でソフトウェアベンダーに提供される予定である。
本連載第31回で、オーストラリア版PHR(個人健康記録)「My Health Record」(関連情報)を取り上げたが、2025年4月時点で2400万人以上が登録する規模まで普及した(関連情報)。このMy Health Recordの拡大を支えてきたのが、オーストラリアデジタルヘルス庁のデジタルヘルス開発者ポータル(関連情報)である。
デジタルヘルス開発者ポータルでは、高齢者ケアイニシアチブ(関連情報)が活動しており、既に高齢者介護施設でMy Health Recordが活用されている(関連情報)。
今後、在宅現場を中心とするオーストラリアの医療と介護の連携において、これらのデジタルヘルス技術がどのような役割を果たせるのか注目が集まっている。
笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所、グロバルヘルスイニシャチブ(GHI)等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。
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