その後2024年7月4日、オーストラリア保健・障害者・高齢化省は、「2024〜2029年高齢者介護データ・デジタル戦略」(関連情報)を発表した。ここでデジタルとは、情報の利用者および提供者が技術やプロセスとどのように関わるかについて言及したものであり、データとは、システムに入力される情報であり、サービスの提供や報告の目的で使用されるものを指すとしている。
この戦略は、オーストラリア連邦政府の「データ・デジタル政府戦略」(関連情報、PDF)と連携して、障害者支援や退役軍人ケアを含む、より広範な「国家ケアサポート経済戦略」(関連情報)を支える役割を果たすものである。
また2024〜2029年高齢者介護データ・デジタル戦略は、医療従事者の多くが、医療サービスと高齢者介護サービスの両方を提供している点を踏まえて、前述の「2023〜2028年版オーストラリア国家デジタルヘルス戦略」や「2023〜2033年デジタルヘルス・ブループリント」(関連情報、PDF)の連携戦略としても位置付けられている。これらの戦略と連携させることによって、ケアの継続性を強化するという共通の目標の下で、高齢者介護および医療双方のデータやデジタルシステムをより緊密に統合し、情報共有を容易にするための一貫したデータ標準の採用などを目指すとしている。
図2は、2024〜2029年高齢者介護データ・デジタル戦略の全体像を示したものである。
高齢者介護データ・デジタル戦略では「高齢者に対して最高品質の“人間中心のケア”を提供するとともに、データとデジタルイノベーションを通じて持続可能で生産的なケアサポート経済を推進する」をビジョンに設定している。
2024〜2029年高齢者介護データ・デジタル戦略は、以下のような構成になっている。
これらのうち「高齢者およびセクターへのわれわれのコミットメント」に関連して、図3は、2024〜2029年高齢者介護データ・デジタル戦略の高齢者およびセクターへのコミットメントを整理したものである。
ここでは、人間中心の高齢者介護システムの構築を達成するためのイネーブラーとして、イノベーションとデータおよびデジタルのより強力な導入が位置付けられている。特にテクノロジーベンダーに関しては、「イノベーションから恩恵を受け、明確な戦略的方向性と優先順位を定め、自信を持って投資できる」と明記されている。2024〜2029年高齢者介護データ・デジタル戦略で設定された3つのペルソナの中でも、支援するペルソナの一員としてテクノロジーベンダーが登場している。
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