Forgersは、アイシンの半田工場向けに、XRヘッドセット「Meta Quest 3」を活用したMR安全訓練アプリを開発。従来のVR訓練アプリで課題とされていた「現場を再現するための3Dデータ制作」の負担を解消し、新たな安全訓練の形を実現した。
Forgersは2025年7月2日、アイシンの半田工場(愛知県半田市)向けに、XRヘッドセット「Meta Quest 3」を活用したMR(複合現実)安全訓練アプリケーション(以下、アプリ)を開発したと発表した。
同アプリは、現実の工場や事務所内を見ながら訓練できる“現場対応型の教育ツール”として位置付けられている。実際の現場で即座に体験でき、従業員の安全意識向上と、現場に即した訓練の実施に役立つ。
現実空間上に仮想オブジェクトを投影できるMR技術を活用することで、従来のVR(仮想現実)訓練アプリで課題とされていた「工場や事務所などの現場を再現するための3Dデータ制作にかかるコスト負担」を解消し、新たな安全訓練の形を実現した。
アイシンはVRによる安全教育の導入を検討する中で、「全ての工場のVRデータを作成するためのコスト負担の大きさ」や「市販のVR危険体験コンテンツでは実際の工場と異なりリアリティーに欠ける」といった課題を感じ、Forgersと共同でMR技術を活用したアプリの開発に至った。
同アプリには、2つの訓練モードが用意されている。
1つは、現実の工場や事務所などを歩き回りながらヒヤリハットを発見し、指摘する「ヒヤリハット指摘モード」である。例えば、段ボールが通路に無造作に置かれている、曲がり角から人が突然出てくる、上からパイプが落ちてくる、といったシーンに対応している。
もう1つは、火災発生時における初期対応を訓練できる「火災消火訓練モード」だ。火災の周知から消火活動、(消火困難な場合の)避難までを体験でき、現場で求められる状況判断スキルを養うことができる。
Forgersは今後も、製造業のDXを支援する学習/教育用ゲームアプリの開発に取り組み、製造業界にとどまらず、インフラ業や建設業など幅広い分野への展開を検討していく方針だ。
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