紙と天然由来成分から射出成形するサステナビリティ技術「D-PIM」の研究開発拠点として、大宝工業の三島研究所が本格始動する。業界ごとの最適設計など、D-PIMの技術開発と用途展開をさらに強化する。
大宝工業は2025年5月12日、自然の力を利用したサステナビリティ技術「D-PIM(DAIHO Pulp Injection Molding)」の研究開発拠点として、三島研究所(静岡県伊豆の国市)が本格始動すると発表した。
D-PIMは、東京大学、日精樹脂工業と共同開発した技術で、紙と植物性結合剤を融合した天然由来成分から製品を射出成形する。生分解性や水溶性に優れ、燃焼時に有害物質が発生せず、高いリサイクル性(紙リサイクル)を有する。
また、射出成形することで寸法精度が高く、日常環境下では分解しにくい安定性を備える。配合を工夫すれば、難燃性や耐水性、耐油性、ガス透過性など、さまざまな機能性を持つことが可能だ。フッ素樹脂を使用しないため、有機フッ素化合物(PFAS)の削減に寄与する。
これまで多様な分野でD-PIMを利用した製品が実用化されているが、近年は脱プラスチックを超えた機能性へのニーズが高まっているという。ユーザーの要望も多様化かつ高度化しており、素材レベルでのカスタマイズ、業界ごとの最適設計といったより深い対応が求められていた。
同社はこうした流れを受け、技術開発と用途展開をさらに強化するため、2024年5月に三島研究所を開設。開発用射出成形機と試験機を導入したほか、社内メンバーや製紙業界から紙とパルプ繊維の専門家を招集し、1年の準備期間を経て本格的に活動を開始することとなった。
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