メーカー別に見ると、トヨタの2024年度のグローバル生産台数は前年度比2.9%減の967万9470台と4年ぶりに減少へ転じた。主力モデルを相次ぎ生産停止した国内生産は、同2.2%減の323万6420台と3年ぶりのマイナスとなったが、国内生産の基準とする300万台は確保した。
2024年度は、「プリウス」が後席ドアハンドルの不具合によるリコールで2024年4月上旬から6月中旬まで稼働を停止した他、生産工程の確認のため「ノア/ヴォクシー」とアルファードも同年4月上旬から中旬まで停止。同年6月に発覚した認証不正問題では、「ヤリスクロス」「カローラフィールダー/アクシオ」の生産を同年9月上旬まで停止した。
さらに2025年3月6日に発生した中央発條の爆発事故では、「ハリアー」「RAV4」、プリウス、ノア、アルファードなど稼働停止の影響が幅広い車種に及んだ。輸出も、主力の北米や中国向けが2桁パーセント減と低迷したことにより、前年度比3.9%減の194万1019台と2年ぶりの前年割れとなった。
海外生産も伸び悩み、前年度比3.3%減の644万3050台と4年ぶりに前年実績を下回った。前年が半導体の供給改善で高水準だった他、中国が市場のEVシフトによる販売競争の激化により同7.8%減と、2年連続の前年割れ。中国以外のアジアも、インドは堅調な需要や3直化、「アーバンクルーザーハイランダー」「イノーバハイクロス」の好調などにより同8.0%増と伸長した他、フィリピンも同10.5%増、ベトナムも同11.8%増と好調だった。ただ、主要市場のタイは経済低迷や自動車ローンの厳格化などで同7.7%減、インドネシアもローンの厳格化で同5.2%減と伸び悩んだ。その結果、中国を含むアジアトータルでは同4.8%減だった。
なお、主力の北米は、運転席エアバッグのリコールにより「レクサスTX」と「グランドハイランダー」の生産を停止したが、堅調な需要やHEV人気、新型「カムリ」、RAV4などの好調がプラス材料となり、前年並みを維持し、4年連続で増加した。欧州は、前年8月にチェコで発生した部品工場火災の反動があったが、英国がゼロエミッション義務化の施行により前年度比32.3%減と大きく落ち込んだことで、同4.1%減と4年ぶりにマイナスへ転じた。
厳しい1年だったが、足元では挽回生産が進んでいる。2025年3月単月のグローバル生産は、前年同月比9.1%増の88万476台と3カ月連続のプラスだった。このうち国内生産は、同6.9%増の30万3301台と3カ月連続の前年超え。中央発條の爆発事故による稼働停止が発生したものの、認証不正からの挽回生産や新型車の投入効果でカバーした。
海外生産はさらに好調で、前年同月比10.3%増の57万7175台と2カ月連続で前年実績を上回った。主要市場の北米は、堅調な需要に加えて、2025年1月の降雪による減産の挽回生産を実施したこともあり、同12.4%増と大きく伸長し2カ月ぶりのプラス。中国も引き続き競争激化が続いている中、政府の車両購入補助政策と連動した販売促進策が奏功し、同18.7%増と好調で3カ月連続で増加した。
中国以外のアジアも、「ハイラックス」が好調だったタイが前年同月比11.3%増、インドネシアも「アヴァンザ」などが堅調で同16.3%増と回復。一方、インドは稼働日が前年より少なく同5.1%減だったが、アジアトータルでは同12.4%増と2カ月連続で増加した。欧州はフランスの環境税改定による市場低迷や英国の不調により同4.9%減と、2カ月連続のマイナスだった。
グループ傘下のダイハツは、認証不正で稼働停止した前年の反動増があったものの、2024年11月に適用された新たな法規対応への遅れやインドネシアの低迷などで、2024年度のグローバル生産は、前年度比0.2%減の143万8910台と2年連続で前年実績を下回った。このうち国内生産は、同5.5%増の65万6851台と2年ぶりに増加したが、2022年度と比べると24.7%減という低水準だ。内訳は軽自動車が前年度比3.5%増の47万9187台、登録車は同11.0%増の17万7664台だった。
認証不正で2023年12月末から生産を停止したダイハツは、2024年7月には全ての現行車種の生産を再開したが、認証不正問題の影響で新規開発や認証業務を中断したことで、継続生産車にも適用された新法規の対応に一部車種が間に合わないため生産を11月には再び停止する事態となった。その後、順次対応を進め、2025年2月には全ての国内生産車の法規対応を完了した。その結果、3月単月の国内生産は、中央発條の爆発事故による稼働停止が発生したが、前年の認証不正問題による生産停止の反動により、前年同月比78.0%増の5万4202台と3カ月連続のプラスとなった。
海外生産は、前年度比4.5%減の78万2059台と2年連続で減少した。要因はインドネシアで、自動車ローンの金利上昇などにより市場が低迷し、同9.7%減と2年連続の前年割れとなった。一方、マレーシアは同2.4%増と年度として過去最高を更新した。
ただ、足元では減少に転じており、2025年3月単月の海外生産は、前年同月比6.9%減の5万9761台と3カ月連続のマイナス。インドネシアは同7.5%減と20カ月連続の減少。マレーシアも同6.3%減と2カ月ぶりのマイナスだった。とはいえ、国内生産が回復した影響は大きく、3月の世界生産は同20.4%増の11万3963台と4カ月連続で増加した。
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