NTTでは従来のベイズ最適化と新手法を用いて実験を行い性能を比べた。試験では、これらの機械学習を活用し、バンドギャップ波長1180nm、InP格子整合(d=5.8688[Å])(x0、y0=0.1953,0.4247)を目標とした結晶を、目標値の範囲外である6点の教師データを基に予測し妥当性を検証した。
その結果、従来のベイズ最適化では1回目の実験で妥当でない予測を行い、その後の予測精度も低かった。新手法では1回目の実験で波長や格子定数を測定し妥当な予測を行い、1回の実験で目標を達成した。その後も予測精度が高かった。
また、目標とする結晶組成が大きく変化した場合も、過去の教師データを基に柔軟に新手法で評価できるかも実験を行い評価した。その結果、新手法は3回目の実験でほぼ目標値を達成し、その後も徐々に目標により近い値を導出。このことから、目標とする組成の成膜条件の自動導出が可能であることが実証された。
今後は、新手法の適用先の探索や異なる半導体材料への適用を検討するとともに、光通信用デバイスや光電融合デバイスの材料となる半導体薄膜の製造現場に広く展開。さらに、この手法を普及させ、これまで熟練の技術者に頼っていた半導体薄膜の製造ノウハウをデータとして蓄積し、次世代への技術継承に貢献する。
小林氏は「新手法のビジネスモデルとしては、光通信用デバイスに用いる半導体薄膜の成膜を行う企業などに同手法を販売することを想定している。既に関心を示している企業もある」と語った。
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