クラウド設備保全システムにAI機能追加、設備の修理依頼申請チェックなど製造ITニュース(1/2 ページ)

八千代ソリューションズは、クラウド設備保全システム「MENTENA」に生成AIを使った機能を追加する。

» 2025年04月18日 07時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 八千代ソリューションズは2025年4月16日、東京都内で事業戦略説明会を開催し、同社が提供するクラウド設備保全システムに生成AI(人工知能)を使った機能を追加することを発表した。

社会インフラ管理のノウハウ生かした設備保全システム

 八千代ソリューションズは、社会インフラ整備に関する建設コンサルティングなどを手掛ける八千代エンジニヤリングの100%子会社として2024年7月に設立された。

 八千代エンジニヤリングでは、国土交通省や自治体向けにインフラを効率的に維持管理するためのITシステムの開発に協力しており、そこで培ったノウハウを民間に提供することが八千代ソリューションズ設立の目的になっている。

八千代ソリューションズの水野高志氏 八千代ソリューションズの水野高志氏[クリックで拡大]

 製造業では人手不足が課題となっており、特に保全管理の現場は深刻だ。八千代ソリューションズ 代表取締役社長の水野高志氏は「設備保全をしている方たちは高齢の方が多い。ノウハウが引き継がれないまま、人材がいなくなってしまう。設備自体も老朽化している。この状況は製造業に限った話ではなく、インフラも同じ状況だ」と語る。

 2025年1月には埼玉県八潮市で道路の陥没事故が発生し、いまだ復旧作業が終わっていない。「下水道は、重力による自然流下で流れるようになっている。道路なら事故が起こると迂回路の設定ができるが、下水の場合は難しい。そのため、復旧も長期にわたっている」(水野氏)。

 製造現場でも、重要な機器が損傷または停止すると、代替設備がない場合は事業に与える影響が甚大になる。カギとなるのがアセットマネジメントであり、例えば軽微な損傷の段階で予兆を捉え、必要な対処をして突発的な停止を防ぐ予防保全への転換が求められる。

 「インフラの場合、壊れてから直すのと比較して、予防保全の取り組みによって2048年度には1年間で50%近い費用を削減できるという試算もある」(水野氏)

 八千代エンジニヤリングがこれまでに蓄積した社会インフラでのノウハウを生かして開発されたのが、八千代ソリューションズが提供するクラウド型の設備保全システム「MENTEMA」だ。従来の紙やExcelの管理からクラウドシステム管理へ移行することで、現場作業の効率化や点検履歴の効果的な管理につながる。

クラウド設備保全システム「MENTENA」活用の効果 クラウド設備保全システム「MENTENA」活用の効果[クリックで拡大]出所:八千代ソリューションズ
八千代ソリューションズの山口修平氏 八千代ソリューションズの山口修平氏[クリックで拡大]

 八千代ソリューションズ COOの山口修平氏は「現場で紙やExcelに記録して、オフィスに戻ってからさらにExcelに転記をするというケースがたくさんある。それ以外にも、紙やExcelで運用することで、故障修理の記録を簡単に探せなかったり、熟練技術者の中にだけノウハウがたまり若手が育たなくなってしまったりしている現状がある」と述べる。

 MENTENAは2020年6月から運用を開始しており、2025年1月時点で化学や食料品など製造業を中心に導入企業は500社を超える。経営判断に役立つデータの創造、現場での使いやすさ、データの一元的な集約という3点を中心に機能強化を重ねており、AIを活用した機能も順次投入する。

MENTENAのサービス強化の方向性 MENTENAのサービス強化の方向性[クリックで拡大]出所:八千代ソリューションズ
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