AIが話し合って調達を決める? 自律稼働SCMを目指すパナソニック コネクトサプライチェーン改革(1/2 ページ)

パナソニック コネクトは、R&D部門の取り組みを紹介するとともに、現在力を入れているSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューションの現状と今後の強化方針について説明した。

» 2025年03月19日 10時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 パナソニック コネクトは2025年3月10日、R&D部門の取り組みを紹介するとともに、現在力を入れているSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューションの現状と今後の強化方針について説明した。

 パナソニック コネクトは、パナソニックグループの中でサプライチェーンソリューションや実装機、アビオニクス、メディアエンターテインメント製品などを扱っている企業だ。2017年に元日本マイクロソフト 社長の樋口泰行氏が社長に就任(前身であるパナソニック コネクティッドソリューションズ社)し、「カルチャー改革」「事業立地改革」「専鋭化、オペレーション改革」の3つを軸に、パナソニックグループの中でもいち早く典型的な日本の伝統的企業体制からの脱却を目指し変革に取り組んできた。

 R&D部門でもこれらの方向性に合わせ、テクノロジープロダクトラインによる事業探索を行える体制へとブラッシュアップを進めてきた。その中で従来的な研究開発を進める「技術研究開発本部」、開発したソフトウェア技術を展開できるクラウド事業基盤の開発、運用を行う「クラウドエンジニアリングセンター」、開発した新たな技術をSaaS(Software as a Service)として新たなビジネス展開を行う「SaaSビジネスユニット」の3つの組織で新規事業開発に貢献する技術開発体制の構築に取り組んできた。

photo パナソニック コネクト 執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデントでCTOの榊原彰氏

 パナソニック コネクト 執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデントで、チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO)の榊原彰氏は「従来の技術開発本部は、事業部の事業に直接的に関係する技術開発で貢献する役割だったが、3つの組織を連携させることで既存の事業貢献だけでなく、新規事業の柱を探索することもできるようになる。それをハードウェアベースではなくソフトウェアベースで探索することに取り組んでいる。SaaSビジネスユニットは直接的に売り上げを稼ぐ役割となるが、まだ赤字ではあるものの、当初予定よりは早く黒字化できそうだ」と述べる。

photo パナソニック コネクトの新たなR&D体制[クリックで拡大] 出所:パナソニック コネクト

 新規技術探索に力を入れるためには、技術開発部門にも心理的安全性の確保が必要になる。そこで、パナソニック コネクトでは技術研究開発本部において新たにポリシーとミッションを策定した。ポリシーとしたのが「Think Big, Act First and Fail Fast. Repeat above till success(大きく考えて最初に動き、早く失敗する。成功するまで繰り返す)」だ。榊原氏は「とにかく新たな挑戦を奨励するために失敗をしやすい環境を作りたかった。その思想のもと、社内では失敗を自慢するアワードプロジェクトなども行っている。技術的に難しいがあえて挑戦したことを表彰し、賞金も出している。多数の応募が毎回あり、良い研究成果が生まれている」と語る。

photo 技術開発本部のポリシーとミッション[クリックで拡大] 出所:パナソニック コネクト

 R&Dにおけるグローバルでの連携強化も進めている。パナソニック コネクトでは国内に本社、横浜の佐江戸、大阪の京橋、福岡の美野島にR&D拠点を構え約400人が在籍している。海外では、米国のBlue Yonder(ブルーヨンダー)に加え、欧州のパナソニック コネクトヨーロッパR&D、ドイツ研、アジアのベトナム研、シンガポール研がある。このグローバルでのR&Dネットワークを生かし、強化を進めている領域の1つが、ブルーヨンダーを中心としたSCM(サプライチェーンマネジメント)領域での研究開発だ。

photo パナソニック コネクトのR&Dのグローバル体制[クリックで拡大] 出所:パナソニック コネクト
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