大阪公立大学は、局所的な量子もつれの度合いを計算する公式を導き出した。強相関電子系を構成する原子集団の任意の原子と、系のその他部分である環境系間の局所的な量子もつれのほか、さまざまな系に適用できる。
大阪公立大学は2025年2月4日、局所的な量子もつれの度合い(エンタングルメントエントロピー)を計算する公式を導き出したと発表した。公式は、強相関電子系を構成する原子集団の任意の原子と、系のその他部分である環境系間の局所的な量子もつれのほか、さまざまな系に適用できる。
同公式を、原子が直鎖状に並んだナノサイズの人工磁性体に適用したところ、磁性体内の各原子とその環境系の量子もつれ度合いは、必ずしも中心の原子で大きいとは限らないことが判明した。
また、2原子間の量子もつれの度合いは、原子間の距離が大きいほど減少するものの、単純な相反性ではなかった。これは系内で電子が波的に振る舞いつつも粒子的に振る舞う、量子論に基づく性質によるものと考えられる。
さらに、希薄磁性合金に公式を適用し、近藤遮蔽の過程で現れる量子情報量が量子相対エントロピーであることを確認した。
同公式は、他のさまざまな系にも適用できることから、今後、物性を新しい視点から理解するのに役立つことが期待される。
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