局所的な量子もつれの度合いを計算する公式を導出研究開発の最前線

大阪公立大学は、局所的な量子もつれの度合いを計算する公式を導き出した。強相関電子系を構成する原子集団の任意の原子と、系のその他部分である環境系間の局所的な量子もつれのほか、さまざまな系に適用できる。

» 2025年02月21日 11時00分 公開
[MONOist]

 大阪公立大学は2025年2月4日、局所的な量子もつれの度合い(エンタングルメントエントロピー)を計算する公式を導き出したと発表した。公式は、強相関電子系を構成する原子集団の任意の原子と、系のその他部分である環境系間の局所的な量子もつれのほか、さまざまな系に適用できる。

キャプション 導き出した公式のイメージ 出所:大阪公立大学

 同公式を、原子が直鎖状に並んだナノサイズの人工磁性体に適用したところ、磁性体内の各原子とその環境系の量子もつれ度合いは、必ずしも中心の原子で大きいとは限らないことが判明した。

キャプション 5つの原子(黒丸)からなるナノ磁性体の各原子のエンタングルメントエントロピー[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学

 また、2原子間の量子もつれの度合いは、原子間の距離が大きいほど減少するものの、単純な相反性ではなかった。これは系内で電子が波的に振る舞いつつも粒子的に振る舞う、量子論に基づく性質によるものと考えられる。

キャプション 6つの原子(黒丸)からなるナノ磁性体で1番目の原子(左端)と他の原子の量子もつれ度合い[クリックで拡大] 出所:大阪公立大学

 さらに、希薄磁性合金に公式を適用し、近藤遮蔽の過程で現れる量子情報量が量子相対エントロピーであることを確認した。

 同公式は、他のさまざまな系にも適用できることから、今後、物性を新しい視点から理解するのに役立つことが期待される。

⇒その他の「研究開発の最前線」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.