東北大学は、コバルトに白金を混合した合金ナノ薄膜において、従来よりも約5倍大きな光磁気トルクを観測した。白金の混合比率の増大とともに、面内と面直、いずれの方向の光磁気トルクも大きくなることが分かった。
東北大学は2025年1月7日、コバルト(Co)に白金(Pt)を混合した合金ナノ薄膜において、従来よりも約5倍大きな光磁気トルクを観測したと発表した。
コバルトと白金の原子からなる合金ナノ薄膜に対して、面直方向に円偏光を入射すると磁気の方向(黒色のベクトル)を変化させる光磁気トルクが発生する(赤色と青色のベクトル)。光磁気トルクは薄膜面直方向(赤色のベクトル)と面内方向(青色のベクトル)の成分からなる[クリックで拡大] 出所:東北大学研究では、高い磁性を持つCoに、さまざまな濃度で重元素のPtを混合し、光磁気トルクの大きさを測定した。最大で70%まで固溶したところ、混合比率の増大とともに、面内と面直、いずれの方向の光磁気トルクも大きくなることが分かった。Ptを混合しないナノ薄膜と比べて、約5倍に増強する。
光磁気トルクによって駆動される磁気の運動をポンプ・プローブ時間分解磁気光学カ―効果によって測定した実験データの例。(a)コバルトナノ薄膜、(b)コバルト白金ナノ薄膜(白金の比率は原子比65%)、(c)測定した磁気の運動から評価された光磁気トルクの大きさと白金の比率の関係。面内ならびに面直方向の光磁気トルクのいずれも白金の混合比率とともに増大する[クリックで拡大] 出所:東北大学この光磁気トルクは、円偏光によって発生する電子軌道角運動量に起因しており、Pt元素特有の相対論的量子力学効果であるスピン軌道相互作用が増強効果を発揮することが分かった。
光と磁気を用いたナノ磁性体の制御は、電子技術と光技術を融合する光電融合技術の1つとして注目されている。光で情報を書き込むスピンメモリやストレージ技術への応用が期待される。
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