千葉大学は、緑、オレンジ、赤、深赤の4色の光スキルミオンを発生する小型ファイバーレーザー装置を発表した。レーザー共振器内部のレンズを共振器の光軸方向に沿って動かすだけで、レーザーの色(波長)を切り替えられる。
千葉大学は2025年1月7日、緑、オレンジ、赤、深赤の4色の光スキルミオンを発生する小型ファイバーレーザー装置を発表した。レーザー共振器内部のレンズを共振器の光軸方向に沿って動かすだけで、レーザーの色(波長)を切り替えられる。サウスハンプトン大学、千葉工業大学との共同研究で開発した。
光スキルミオンは、光の偏光を表す3次元ストークスベクトルを2次元平面に投影したものとなる。今回の研究では、光の準粒子となる光スキルミオンをレーザー装置から直接発生させるという簡便な方法を確立した。
まず、くさび型部分反射鏡を共振器内に差し込み、その表面と裏面で光渦を発生させた。これに加え、共振器の発振モードであるガウスビームを取り出し、2つのビームを同時に発生可能なレーザー装置を開発した。
発生したガウスビームと光渦モードは、偏光干渉するだけでさまざまな光スキルミオンを発生させることができる。また、共振器の光軸方向に沿って球面レンズを動かすことで、Pr3+イオンの発光線に相当する緑(523nm)、オレンジ(605nm)、赤(637nm)、深赤(719nm)という4色の波長が異なる光スキルミオンを発生させることに成功した。
発生した緑、オレンジ、赤、深赤の4色の光スキルミオンの偏光分布。光スキルミオンの偏光状態はデータ値を可視化するため色で表現する配色スキーム「ジェットカラーマップ」で示されている(上段)。赤は右回り、青は左回りの円偏光を表す[クリックで拡大] 出所:千葉大学今回開発した装置は、空間変調器などの高価かつ複雑な機器を必要とせず、レーザー装置の種類も選ばない。将来的には、可視域以外の波長(紫外〜中赤外)のレーザー装置で光スキルミオンを容易に発生できる可能性があり、自由空間光通信やデータストレージ、超解像顕微鏡などへの応用が期待される。
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