Resonac Pride 製品・サービスの認定事例として、神奈川県川崎市のパッケージングソリューションセンターの事例が紹介された。
パッケージングソリューションセンターは、先端パッケージの技術/最新設備を活用し、顧客と共創するオープンイノベーションの場だ。顧客の技術課題やパッケージング材料への要望、新規パッケージトライアルに対して、メカニズム解析/改善策の提案、パッケージ試作を通した最適なプロセスの提案、共創によるイノベーションの創出、協業によるブレークスルーを行っている。
2018年には同センターを中心に次世代半導体パッケージ技術開発のコンソーシアム「JOINT」を、2021年に最先端の後工程技術に関する一貫ラインを備えたコンソーシアム「JOINT2」を立ち上げ、社外のステークホルダーとの共創を実現している。
Resonac Pride 製品・サービスで同センターを認定するに当たり、ステップ1として、パーパスの実践内容「顧客/社会への提供価値(可能な限り定量化)」や「4つのバリューの実践内容」、世界共通のゴールとの関連性である「SDGsへの貢献内容」、環境への貢献を示す「GHG排出量の削減効果」、将来へのチャレンジである「今後の展開内容」、財務影響を指す「将来への売上、利益、キャッシュフローへの影響」について社内初期審査した。これらのうち、会場では「顧客/社会への提供価値」と「GHG排出量の削減効果」の審査内容の一部が紹介された。
「顧客/社会への提供価値」に関しては、以下の点が評価された。同センターが半導体パッケージの電極間と配線間の距離を3分の1とすることにより高密度化を実現した点。近年、生成AI(人工知能)のデータ数が向上している点やスーパーコンピュータの計算速度アップに、パッケージの高密度化技術が貢献している点。
さらに、同センターが開発を進めるパッケージの高密度化技術が生成AIの性能向上に役立つ点やOpenAIの言語モデルである「GPT」の進化により、社会の労働時間短縮に寄与し、生産性が高まる点。レゾナック エレクトロニクス事業本部 開発センター パッケージングソリューションセンター長の畠山恵一氏は「アクセンチュアの調査レポートによれば、日本でも業界平均で44%の労働時間がChatGPTにより大きな影響を受ける可能性があることが判明している」と話す。
また、パッケージの高密度化技術により半導体の処理速度が向上し、その半導体が搭載されたスーパーコンピュータの計算速度が上がり、天気予報を行う際に地方単位から県単位で線状降水帯の予測が可能となり、急な天候の変化にも対応しやすくなる点も評価された。
「GHG排出量の削減効果」については、同センターが開発を進める2.5次元構造の先端パッケージが、従来のFC-BGA構造と比べて、処理可能数当たりのGHG排出量を90%減らせる点を評した。
ステップ2では、共創先、顧客、有識者、投資家から同センターにさまざまな期待の声が寄せられている点を評価した。ステップ3ではこれらを含む認定のポイントを確認し、同センターをResonac Pride 製品・サービスに認定した。
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