レゾナックの半導体材料事業が進めるサステナビリティ戦略とは?脱炭素(2/3 ページ)

» 2024年12月12日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

環境に配慮した材料開発

 「環境対応へ貢献する材料開発」では、GHGの削減プロセスに貢献できる封止材や地球温暖化係数(GWP)の低い半導体用エッチングガスの開発を進めている。半導体材料製造時のGHG排出量を削減する取り組みも行っている他、顧客の状況を詳細に把握し、半導体製造の後工程でのGHG排出量削減に貢献するための材料開発も実施している。

 顧客の半導体製造プロセス「Ball Grid Array(BGA)パッケージ製造」を想定してGHG排出量も算出し、封止材によるモールド工程のGHG排出量が特に大きいことを明らかにした。

半導体製造プロセスでのGHG排出量算出 半導体製造プロセスでのGHG排出量算出 [クリックで拡大] 出所:レゾナック・ホールディングス

 この解決策としてGHGの削減プロセスに貢献する封止材の開発を進めている。同材料は、バイオマス材を適用し、半導体製造プロセスでは、150℃での低温成形、25℃の室温保管に対応、後硬化レスで、金型洗浄数削減に貢献する。これらの機能により、従来の封止材と比べて半導体製造プロセスで生じるGHGを年間2054万トン減らせる。同材料の全施策が半導体製造プロセスに適用されると従来と比べて「Scope3(Scope1、2を除く事業者の活動に関連する他社のGHGの排出量)」を約70%削減できる。

GHGの削減プロセスに貢献する封止材の開発 GHGの削減プロセスに貢献する封止材の開発[クリックで拡大] 出所:レゾナック・ホールディングス

 「ステークホルダーとの共創」では、米国でパッケージングソリューションセンターを建設していることに加えて、先端半導体コンソーシアム「TIE」へ参画して、半導体気候コンソーシアムのワーキンググループにも参加している。

Resonac Pride 製品・サービスとは?

 また、レゾナックでは同社の「パーパス(存在意義)」と「バリュー(大切にする価値観)」に適した製品やサービス、拠点などを認定する「Resonac Pride 製品・サービス」を展開している。

 Resonac Pride 製品・サービスでは、3ステップで製品やサービスなどを認定する。ステップ1の社内初期審査では、顧客や社会への提供価値などを可能な限り定量化/可視化する。ステップ2では、さまざまなステークホルダーからの意見や期待、課題を確かめる。ステップ3では、評価の妥当性や今後の方向性を議論し、認定する。

GHGの削減プロセスに貢献する封止材の開発 GHGの削減プロセスに貢献する封止材の開発[クリックで拡大] 出所:レゾナック・ホールディングス

 Resonac Pride 製品・サービスの進捗状況に関して、同社では2025年末までに全ビジネスユニット(BU)の代表製品/サービスについて認定していく方針だ。2025年からは役員報酬のインセンティブ部分のKPI(重要業績評価指標)に、この認定数を含むことを検討している。今後は、よりResonac Pride 製品・サービスの客観性を高めるために有識者などによる最終審査を検討中だ。

Resonac Pride 製品・サービスの進捗状況 Resonac Pride 製品・サービスの進捗状況[クリックで拡大] 出所:レゾナック・ホールディングス

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