「2024年」は物流対策も製造業の主要業務に、“製配販”の連携をタギングでものづくりDXのプロが聞く(3/3 ページ)

» 2024年12月06日 08時00分 公開
[Koto Online編集部Koto Online]
Koto Online
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「2024年問題」の現在地 物流改革がメーカーのミッションになりつつある

田口 今後の課題は、どのように捉えていますか。

天川 RFIDの需要はどんどん増えていますが、製品に合わせたRFIDの取り付け方や、技術とコストをどうすり合わせていくのかといった課題はまだあると思います。

田口 製品開発においては、マーケットイン中心の動きとなるのでしょうか。

天川 いまは現場の回転がかなり速いので、お客さまのスピード感について行こうとするとどうしてもマーケットインから入ることになりますが、サトーはメーカーでもあります。プロダクトアウト的な要素とマーケットインの両方を組み合わせていくことが、会社が成長し続けるには重要だと思っています。

 また、サトーと連携することでわれわれの製品の価値を上げていく技術を持ったパートナー企業を見つけアライアンスを広げていくかについても、最も力を入れているところです。

「サトーと連携することでわれわれの製品の価値を上げていく技術を持ったパートナー企業を見つけアライアンスを広げていくかについても、最も力を入れているところです」(サトー 天川氏)[クリックで拡大]出所:Koto Online

田口 いろいろなソリューションも含めて、自社製品の強みを生かす形で伸ばしていくということですね。2024年問題に触れるまでもなく、物流の課題はたくさんありますよね。江東サポートセンターでみられたように、従業員の方の精神面の負担軽減も大切ですね。

天川 そうですね。現場の方が安心して働けるようにしたいという要望も、お客さまのところでよく聞きます。社員の方が簡単に、負担なくできること。慣れている人なら商品を見ただけで識別できますが、そこに依存できませんからね。

田口 そうですね。外国人の方が多い場合もあります。

天川 今後は誰でもできる仕組みにしていかないと、現場が立ち行かなくなります。以前は、お客さまから差し出される名刺に「DX推進部」などの部署名が書かれていたのが、そこに「物流」が付け加えられている会社様が増えてきていると思います。「物流改革チーム」「物流改革推進プロジェクト」といった感じです。

 製造業様がとくに「熱い」ですね。非常に物流に課題を感じていて何とかしたい、2024年問題を何とかしないといけないと姿勢の現れだと思います。

田口 実際に働く時間を減らさなければいけないうえに、そもそも就職する人が減っている状況なので、人だけでどうにかしようということができなくなっていますね。その状態で、生産性を維持するのにどうしようかという状態。でも江東 サポートセンターのように、作業が3.5日から3時間に大幅短縮したところをみると、いろいろとやる余地はまだあるのですね。

天川 そう思います。そのためにも、今回の例は棚卸し作業でしたが、そこだけを見るのではなく、入荷の時にタギングするなどもう少し前手から取り組む必要があると思います。もっと前手のオペレーションを変えないと、後ろの改善というのはできないと感じています。

 タギングとはまさしく、前できちんとタギングして、それぞれの場に来た時にしっかりとチェックしてトレースができる仕組みを作りませんかというご提案が、今は多くなっているように思います。初めの段階でRFIDを貼ることで、過程が全てトレースできます。

田口 いろいろな方の名刺に見られるように、DXプラス、物流改革がミッションになっているのですね。

天川 そうですね。現場では労働力不足を実感しているので、今までは費用が合わなかったところでも、まずはそこに手をつけないと。ものが出ないと、売上が上がりませんからね。

 今までは物流の部分は人手で何とかなっていたのが、今はそうではなくなっており、各社とも深刻に捉えて本気で取り組んでいることを、現場へ行くたびに感じます。

 切実なミッションを持たれていて、その成果を挙げるために、手段としてのDXで求められていると感じます。タギングでバリューチェーン全般を網羅していきたいと思います。

田口 製造や物流の課題解決に、これからもたくさん貢献されていくのが楽しみですね。貴重なお話をありがとうございました。

経歴

天川 広一氏

サトー 国内営業本部 物流市場戦略部Business Development担当 専門部長

物流系ソフトウェア開発の企業の代表として物流現場の改善に従事し、2014年にサトー(現・サトーホールディングス)へ入社。営業部やソリューション推進部で営業を担当し、2020年から市場戦略部に所属。倉庫内の最適化から物流に至るまで、自動認識ソリューションを活用した物流改善の提案を多数行ってきた。

田口 紀成氏

Koto Online編集長

2002年、インクス入社。3D CAD/CAMシステム、自律型エージェントシステムの開発などに従事。

2009年にコアコンセプト・テクノロジー(CCT)の設立メンバーとして参画後、IoT/AIプラットフォーム「Orizuru」の企画・開発等、DXに関して幅広い開発業務をけん引。2014年より理化学研究所客員研究員に就任、有機ELデバイスの製造システムの開発および金属加工のIoTについて研究を開始。2015年にCCT取締役CTOに就任。先端システムの企画・開発に従事しつつ、デジタルマーケティング組織の管掌を行う。

2023年にKoto Onlineを立ち上げ編集長に就任。現在は製造業界におけるスマートファクトリー化・エネルギー化を支援する一方で、モノづくりDXにおける日本の社会課題に対して情報価値の提供でアプローチすべくエバンジェリスト活動を開始している。 

所属およびプロフィールは2024年5月現在のものです

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