Koto Online編集長の田口紀成氏が、製造業DXの最前線を各企業にインタビューする「ものづくりDXのプロが聞く」。今回はサトーの最新の取り組みについて聞きました。
本連載は製造業のDXに携わる人のためのメディア「Koto Online」に掲載された記事を、一部編集した上で転載しています。記事の情報は、2024年5月時点のものです。Koto Onlineは業界のトップランナーへのインタビュー等を通し、製造業の未来に触れられるコンテンツを発信しています。
「2024年問題」の、まさにその年の半分が過ぎました。あらゆる業界で、物流への真剣な取り組みが進んでいます。サトーが提供する、バーコードやRFIDなどを活用した自動認識ソリューションは、特に製造の物流現場からのニーズが増加。その対象はサプライチェーンやバリューチェーンへと広がっています。
「あらゆるものを情報化して、社会のうごきを最適化する。」をブランドステートメントに掲げる同社の最新の取り組みはどのように展開しているのでしょうか。Koto Online編集長の田口紀成氏が、サトーの国内営業本部 物流市場戦略部Business Development担当 専門部長である天川広一氏にお話を伺いました。
田口氏(以下、敬称略) まずは天川さんの職務内容や、ご経歴についてお聞かせいただけますか。
天川氏(以下、敬称略) 私は途中入社です。前職は、サトーのパートナー企業であるソフト会社におりまして、サトーのお客さまに納品するソフトを提案したり作ったりしておりました。その中でも最も多かった業務が、物流に対する改善の提案やソフトの作成でした。サトーへの入社は2014年です。ソリューションにかかわる製品を販促するため、全国を営業して回っていました。
田口 もともとソフトウェアの方に関わっていて、開発もされてきたということなのですね。
天川 そうですね。もともと開発をやっておりましたが、自分の性格もありましてもっと外に出たいと感じまして、営業に移りました。現在は、物流市場戦略担当として、市場で売れるかどうかの見極めがある程度ついた製品を、市場にどんどん出していく役割を担っています。
田口 御社が提供するRFID技術について詳しくない方のために、簡単にご説明いただけますか。
天川 RFIDとは、Radio Frequency Identificationの略で、電波を利用してヒトやモノを識別する際に使われる技術です。
電波を用いて一括読み取りができるので、バーコードのように1つ1つのタグを読み取る必要がないため、棚卸しなどの際に威力を発揮します。交通系ICカードもRFIDの一種です。当社は、RFIDやバーコードなどの自動認識技術を使ってモノと情報をひもづける「タギング」を得意とし、さまざまなソリューションを提供しています。
田口 ショールーム「S-cube」には、RFIDなどを活用したさまざまな製品が使い方とともにブースに分かれて展示されていて特徴的ですね。ご紹介いただけますでしょうか。
天川 展示ブースは、対象となる業界と技術とに分けて紹介しております。業界としては、物流、食品、流通、製造、ヘルスケア(病院・医薬)に分かれており、利用シーンを再現するような形で展示しています。
田口 病室のようにベッドや点滴スタンドがあるエリアもあれば、物流のブースにはカゴ車も置かれています。
天川 活用シーンを再現したうえで、各ブースはあえてガラス張りにしています。見学に来られたお客さまが別業界のブースを見たときに、何らかの気付きを得られるかもしれないからです。例えば、病院で使う患者さん識別用のリストバンドを見て、ヘルスケア以外の業界の方が「うちの会社でも使えるのではないか」といったこともあります。
天川 製造業のブースで紹介しているのは、指示書にRFIDを使う方法です。製造現場では、指示書に基づいた作業がどれくらい行われたかを確認したいというニーズがあるのですが、実際の作業状況と記録が必ずしも一致しないという課題がありました。
そこで、指示書にRFIDのチップを貼り付けて、作業する現場にRFIDリーダを設置してそこにかざすことで、指示書に基づく作業の進捗状況を逐一、記録できるようにしました。
田口 この指示書を通じて得られた情報は、どのように活用されるのでしょうか。
天川 生産工程の中で、ボトルネックを見つけたいときなどです。どこの工程で停滞しているのか、どこで間違いが発生しているのか。あるいは通常より時間がかかっているのは必要な材料が届いていないからなのか、人がいないからなのかなど、ボトルネックの背景1つをとってみてもいろいろあります。何が起きているのかの情報を取る手段としてご提案しています。
CORE CONCEPT TECHNOLOGIES INC.