また、1チップで最大9軸のモーター制御に対応する産業機器向けMPU製品は業界初になるとする。先述したLLPPバス上に、モーター制御に必要な三相PWMタイマー、電流測定用のΔΣインタフェース、アブソリュート/インクリメンタルに対応するエンコーダーインタフェースを9軸分配置しているため、Cortex-R52から最小遅延でアクセスできるという。これまで多軸制御を行う場合、メインCPUとなるMPUに加えてFPGAや軸数分のマイコンなどが必要だったが、RZ/T2Hであれば1チップで最大9軸のモーター制御に対応可能になる。
工作機械や製造装置など生産ラインで用いられる設備への普及が進む産業用イーサネットへの対応を充実するため、4つのイーサネットポートと3つのギガビットイーサネットMAC(GMAC)、イーサネットスイッチを搭載している。これらを組み合わせることで、複数の産業用イーサネット通信におけるコントローラーとデバイスのサポートだけでなく、上位層との汎用イーサネット通信などコントローラー機器に求められる多様なネットワーク要件に柔軟に対応する。なお、EtherCAT、PROFINET、EtherNet/IP、OPC UA、TSN(Time-Sensitive Networking)など、多くの産業用イーサネット規格に対応している。
RZ/T2Hを用いた機器のソフトウェア開発期間を短縮できるように、Cortex-A55やCortex-R52に対応するルネサスの共通ソフトウェアであるFSP(Flexible Software Package)を提供する。Cortex-A55を用いたLinuxアプリケーション開発に対応する長期サポート対応のソフトウェアパッケージも用意した。さらに、9軸のモーターを駆動可能なインバーターボード、多軸モーター制御サンプルソフトウェア、モーター制御ツールの「Motion Utility Tool」を提供し、最大の特徴である9軸のモーター制御の評価にすぐに取り組めるような体制も整えている。
なお、RZ/T2Hの機能を基に、PLCやCNCといった工作機械や製造装置の制御システム向けに最適化した「RZ/N2H」を2025年1月に発売する予定だ。
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