ルネサス エレクトロニクスは、「産業オープンネット展2022」において、機能安全処理に対応するモーター制御用MPU「RZ/T2M」を披露した。次世代ネットワークであるTSN対応のイーサネットスイッチを搭載するなど、同社のモーター制御用MPUの新たなフラグシップ製品となっている。
ルネサス エレクトロニクスは、「産業オープンネット展2022」(2022年8月2~3日、すみだ産業会館)において、機能安全処理に対応するモーター制御用MPU「RZ/T2M」を披露した。次世代ネットワークであるTSN(Time Sensitive Networking)対応のイーサネットスイッチを搭載するなど、同社のモーター制御用MPUの新たなフラグシップ製品となっている。
RZ/T2Mは、動作周波数800MHzのArmのリアルタイム制御用プロセッサコア「Cortex-R52」を2つ搭載している。これらのうち1つはモーター制御用コアで、CPUに密結合した576KBのECCメモリ(密結合メモリ:TCM)を搭載しており、キャッシュメモリの使用で起こる実行時間のブレを低減して確定的な高速応答処理を行えるようになっている。また、CPUと直結する専用バス(LLPPバス)により、ロボットなどのモーター制御に用いられる周辺機能に低遅延でアクセスできるようにした。
もう1つのコアでは、さまざまな産業用ネットワークの制御と機能安全処理への対応を担っている。EtherCAT、PROFINET、EtherNet/IP、CC-Link IE、OPC UAなどさまざまな産業用ネットワークのプロトコルをサポートするとともに、次世代技術として期待されるTSNに対応するイーサネットスイッチを新たに搭載することで今後の工作機械や製造装置の進化にも対応できる。
また、機能安全処理への対応では、従来は外付けで2つ搭載する必要のあった機能安全LSIのうち1つをCortex-R52コアに実装できるようになった。「RZ/T2MはTSN対応のイーサネットスイッチや機能安全LSI機能を集積することで外付け部品を削減できる。また、当社が開発に注力してきた機能安全対応のソフトウェアとの組み合わせにより、これまで数年かかっていた産業機器の機能安全対応を1年以内で完了できるようになる」(ルネサス エレクトロニクスの説明員)という。
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