日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)がオンラインセミナー「TI Live! Tech Exchange - TI Japan Industrial Day」を開催。本稿では、同社 社長のサミュエル・ヴィーカリ氏の基調講演と、CC-Link協会、EtherCAT Technology Group(ETG)、ODVA、日本プロフィバス協会、MECHATROLINK協会の代表が参加して行われたパネルディスカッションを紹介する。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2022年3月9日、産業用イーサネットをはじめとする産業機器向けの技術に焦点を当てたオンラインセミナー「TI Live! Tech Exchange - TI Japan Industrial Day」を開催した。本稿では、同社 社長のサミュエル・ヴィーカリ氏の基調講演と、CC-Link協会、EtherCAT Technology Group(ETG)、ODVA、日本プロフィバス協会、MECHATROLINK協会の代表が参加して行われたパネルディスカッションについて紹介する。
大手アナログ半導体メーカーとして知られるTI(Texas Instruments)は、2021年の売上高約180億米ドル(約2兆850億円)のうち、約140億米ドル(約1兆6220億円)をアナログ半導体が占めている。そして市場別で41%と最も高い割合を占めているのが産業機器である。ヴィーカリ氏は「産業機器はTIのビジネスの中核だ。過去10年の産業機器の変遷を見ると、当社にとって産業機器はますます需要な存在になっている」と語る。また、日本市場におけるビジネスで50年以上の歴史を持ち、確固たるプレゼンスと堅実な取り組みで評価を得ているという。
TIが注力している事業分野は産業機器、車載機器、パーソナルエレクトロニクス、通信機器、エンタープライズの5つ。中でも、産業機器はスマートグリッドや航空宇宙&防衛から電子POS端末までカバーする範囲は幅広いが、「本日のセミナーは、日本の顧客が主導的な地位を占めるFAとモーター駆動にフォーカスした構成となっている」(ヴィーカリ氏)。
これらのFAシステムがスマートかつ堅牢であることが求められる一方で、安全性とコスト削減に対する要求も高まっている。ヴィーカリ氏はそのためのアプローチとして「革新的な製品」「システムの専門的ノウハウ」「長期的な安定供給」の3つを挙げた。「革新的な製品」では、課題を解決する多くの製品を毎年リリースし、厳しい品質と信頼性の条件もクリアしている。「システムの専門的ノウハウ」では、多くの顧客との連携によりさまざまなシステムを理解する機会が得られており、そこから早期の製品開発に役立つレファレンスデザインにつなげられている。そして「長期的な安定供給」は、世界15カ所の製造拠点を核に、信頼性が高く堅牢なサプライチェーンに基づく在庫戦略で実現している。
今回のオンラインセミナーは、スマート工場の実現で重要な役割を果たす産業用イーサネットが最大のテーマだ。ヴィーカリ氏は「これまで、工場を構成するさまざまな制御システムは、それぞれが独自の通信インタフェースを持っていた。しかしスマート工場では、全ての制御システムが相互かつリアルタイムに通信する必要がある。そこで注目を集めているのが、産業用イーサネットをベースとするギガビットTSN(Time Sensitive Networking)である」と指摘する。
IEEEが定めた標準の下で、リアルタイムで決定性のあるパケット交換が行えるTSNは、ネットワーク構成に非常に多くのオプションがあることも特徴だ。「産業用イーサネットでは、さまざまな組織や団体が通信プロトコルスタックを提案している。これらの採用を促進すべく、コミュニケーション層とアプリケーション層の相互運用性が非常に重要かつチャレンジングな課題になる」(ヴィーカリ氏)という。
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