高知工科大学と筑波大学は、常温常圧下で容易に多元素酸化物触媒を化学合成する手法を開発した。従来と比べて製造コストを大きく削減し、工業化に向けた大量生産が可能となる。
高知工科大学と筑波大学は2024年11月7日、常温常圧下で容易に多元素酸化物触媒を化学合成する手法を開発したと発表した。従来と比べて製造コストを大きく削減し、工業化に向けた大量生産が可能となる。
研究では、常温常圧の環境でコロイド状の多元素酸化物を化学合成することに成功。6元素および12元素から構成される酸化物のX線マッピング像において、50nm程度の粒子サイズで各元素が均一に混合していることが確認できた。
同合成手法は、金属塩、アルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水など)、酸化剤(過酸化水素水)を混合するだけで行える。常温常圧下で合成でき、加熱や加圧が不要で、高価な装置や特殊な化学原料も必要ない。溶液を混合させた直後から化学反応が進み、多元素酸化物が生成される。この手法はスケールフリーであり、高い経済効率性があるため工業化も容易に可能だ。
また、適用可能な元素は33種類に及ぶ。実用的な元素はほぼ網羅されていることから、さまざまな組み合わせで斬新な酸化物が合成可能となる。
作製した12元素酸化物触媒は、水の電気分解における酸素発生電極として高活性と高耐久性を示した。今後、同研究グループはML(機械学習)を利用して、さらなる高性能化を進め、多種多様な触媒を開発することで、カーボンニュートラル社会の進展に貢献する。
CNT繊維の強度低下の原因を解明、電子線の照射により高強度化
超微細金属酸化物粒子を精密に合成する手法を開発し、特異な電子状態を発見
硫化モリブデン超原子がシート状に結合した超原子層の合成に成功
電極の銀イオンが溶出せず、連続使用が可能な長寿命小型酸素センサーを開発
嗅覚センサーとMLを組み合わせ、肺がんの有無を呼気で予測する技術を開発Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
コーナーリンク