パナソニックの国内向け掃除機のほぼ全量を生産する八日市工場。本稿では、再生材の活用などにも力を入れる、八日市工場でのモノづくりに焦点を当てて紹介する。
パナソニックの国内向け掃除機のほぼ全量を生産するのが、1971年の操業開始以来、一貫して掃除機を生産してきた八日市工場(滋賀県東近江市)だ。
8万6160m2の敷地で約460人以上が働き、掃除機のデザイン、設計から樹脂の成型、組み立て、さらには掃除機用の紙パックの生産までを行っている。
本稿では、再生材の活用などにも力を入れる、八日市工場でのモノづくりに焦点を当てて紹介する。
パナソニックは1954年にハンディタイプの掃除機を発売し、掃除機の事業が始まった。畳やフローリングなどの床や発生するごみの種類など、日本人の暮らしの変化に応じて発売する掃除機は変化していった。
当初、掃除機は金属製の筐体だったが、樹脂製に移り変わるのに合わせ、八日市工場が開設され、樹脂成形からの一貫生産が始まった。パナソニック くらしアプライアンス社 ランドクリーナー・事業部 クリーナービジネスユニット 八日市工場 工場長の森下明氏は「われわれの最大の強みは長い経験で培った成形技術だ。掃除機は樹脂の塊であり、安定した品質で成形できることは大きな強みとなっている」と語る。パナソニックの冷蔵庫や洗濯機の樹脂製部品も成形しているという。
工場内には「生活研究ハウス」が設置され、実家庭に近い環境で集じん能力などの使用性評価を行っている。
1988年にはマレーシアで、2002年には中国で工場が稼働し、現在は3拠点体制で日本や中近東、東アジア、東南アジア向けの製品を製造している。八日市工場はグローバルマザー工場の役割を担っている。海外の販売の半分は中近東向けという。
八日市工場ではスティック掃除機、キャニスター掃除機、ロボット掃除機の企画から設計、調達、製造までを一気通貫で行っている。一部は中近東に輸出しているのを除き、ほぼ全量を国内に供給している。生産能力としては、本体とヘッドがつながっているキャニスター掃除機が日産2400台、スティック掃除機が同1800台。パナソニックの掃除機の販売は国内が6割強を占め、残りが海外となっている。
森下氏は「開発とモノづくりの各部門が緊密に連携することで、日本の暮らしの変化にスピード感を持って対応できる」と話す。
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