Creo+は、オンプレミス版のCreoと同一のコアCAD機能を搭載し、上位互換性を担保した3D CADソリューションで、クラウドベースのサービスと組み合わせたSaaS型として2023年5月から提供を開始している。クラウドベースの強みを生かした、複数人によるリアルタイムコラボレーション/コンカレント設計や、効率的かつ柔軟なライセンス管理など、オンプレミス版にはない特長を有している。また、クラウド基盤「Atlasプラットフォーム」上でのデータ管理やSaaS版PLMソリューション「Windchill+」との統合なども容易に行える。
Creo+のアップデートのサイクルは3カ月に一度で、ユーザーは常に最新の機能を利用できる。提供開始以降、ライトユーザー向けの「Creo+ Explore」ライセンスの提供や、Windchill+だけでなくオンプレミスのPLMソリューション「Windchill」との連携(選択)も可能とするなど、「Creo+では、既存ユーザーのニーズにマッチした機能やオプションを順次提供している」と、PTCジャパン ソリューションコンサルティング ディレクター 執行役員の財前紀行氏は述べる。
2024年5月末のアップデート(Creo+ Build 11.0.0.0)では、芸林氏が紹介したCreo 11の機能に加えて、工学技術計算ソフトウェア「Mathcad」の機能をSaaS型で提供する「Engineering Notebook」のサポート、従量制接続対応、ランチャーの改善などが図られている。
さらに、“今後の予定”として、クラウドベースツールのライセンス導入と管理を行う「PTC Control Center」での対応アプリケーションの拡充、コンフィギュレーションおよびカスタマイズの管理、ストリーミング、軽量なPDM機能などの提供を予定しているという。
また、同社はCreoのリリースサイクルを“SaaSファースト”に変更する。この変更により、3カ月周期でアップデートが行われるCreo+が先行する形で、各種新機能が実装されることになる。現時点のCreo+のビルド番号は「Creo+ Build 12.0.0.0」となっており、既に次期バージョン「Creo 12」に搭載予定の新機能の一部が組み込まれているという。オンプレミス版のCreoに関しては、これまでと同様に年1回のメジャーアップデートが実施され、計4回に分けてCreo+に先行実装された各種新機能などが組み込まれた形で提供されるようになる。そのため、2025年第2四半期に提供予定のCreo 12のビルド番号はリリース時点で「Creo 12.4.0.0」となる見込みだ。
「Creo 11まではオンプレミス版のものをCreo+に移植するという方向性だったが、今後はリリースサイクルを“SaaSファースト”にシフトし、クラウド(Creo+)を利用しているユーザーに対して最新機能を先に提供していくことになる」(財前氏)
Creo+の提供開始以来、クラウドベースの強みを生かしたリアルタイムコラボレーションや共有、導入や運用のしやすさなど、新規ユーザーだけでなく、既存のCreoユーザーからの反響も大きいとのことだ。説明会では、搬送用ロボットなどの開発を手掛けるコラボットによるCreo+の導入事例を紹介。床に設置したマーカーを読み取り、自走する物流支援ロボット「CarriRo」の開発で、コラボットはもともとCreoを活用していたが、クラウドベースのCreo+のメリットに注目し、新たにCreo+の導入を決めたという。
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