慶應義塾大学は、タバコの煙に暴露した雌マウスは暴露していない雌マウスに比べて片頭痛の感受性が有意に高まることを明らかにした。受動喫煙が片頭痛の誘発因子の一つである可能性を示唆する結果だ。
慶應義塾大学は2024年10月7日、受動喫煙が片頭痛に与える影響を調べたマウスを用いた研究により、タバコの煙に暴露した雌マウスは暴露していない雌マウスに比べて片頭痛の感受性が有意に高まることを確認したと発表した。受動喫煙が片頭痛の誘発因子の一つである可能性を示唆する結果だ。
今回の研究では、片頭痛の動物モデルとしてよく用いられている皮質拡延性脱分極(CSD)モデルを使用した。CSDとは大脳皮質における神経細胞やグリア細胞の脱分極が同心円状に広がっていく現象で、ヒトの片頭痛の前兆期に生じることが示唆されている。
CSDは塩化カリウムを大脳皮質に滴下することで誘発できる。タバコの煙に1時間暴露したマウスと暴露していないマウスにおいて、CSDが誘発される塩化カリウム濃度を比較した。その結果、雄マウスでは、タバコの煙への暴露によるCSD誘発の閾値に差はなかった。一方、雌マウスではタバコの煙に暴露したグループは、暴露していないグループと比べて閾値が有意に低く、片頭痛の感受性が高くなっていることが明らかとなった。
片頭痛は有病率が8.4%と頻度の高い疾患であり、女性は男性よりも頻度が3.6倍高いと報告されている。これまで受動喫煙は片頭痛の誘発因子の一つと考えられているものの、実際に片頭痛誘発に関わっているのか結論は出ていなった。
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