EVシフトでSUBARUが描く次世代のモノづくりの在り方電動化(3/3 ページ)

» 2024年10月08日 10時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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テクノロジーを受容するリーダーが必要

 AIなどテクノロジーを活用するには、受容するマインドも重要だと日立オートメーションの新井氏は語った。テクノロジーを受容できる人がリーダーになっていくという。

 「製造業各社の生産技術は根拠を積み重ね、検証を重ねて、石橋をたたき割るくらいに突き詰めてやってきた。AIにいきなり任せるのは抵抗があり、AIが出してきた結果を検証するのも簡単ではない。なかなか受け入れがたいという声を多く聞いている。熟練者に代わって若手に提案するような使い方でも、最初はAIの提案が正しいかを検証する必要があるが、徐々にAIに任せる部分を拡大していき、将来的には人とAIのそれぞれから学びがあるような『マルチバースメディエーション』と呼ばれる相互作用が働く世界にしていきたい」(新井氏)

 また、新井氏は「ラインビルダーとしてスバルを支えていくためにも、新しいモノづくりの在り方の中で価値創出を目指していきたい。新たな技術要素が入ってきているが、顧客から要望されたときにきちんと受け止められる状態を作っていきたい」と抱負を語った。

 JR Automation Technologiesのデグラーフ氏は、トランザクションからトランスフォーメーションへの変革を支援する考えを示した。トランザクションとは従来のやり方で、作業ごとに分断し個別に工程が開発される状態を指す。これに対し「トランスフォーメーションでは、作業現場全体のエコシステムを見て、どういった経過があるのか、どこで技術や能力を活用するかを考えていく。投資して終わるのではなく、成果を再利用したり柔軟性を高めて複数の製品を扱ったりできるようにする」(デグラーフ氏)。

 JR Automation Technologiesはさまざまな業界を見て学びながら顧客の問題解決策を見いだせることや、複数のソリューションを展開できることが強みだという。

先行きが見えないからこそ柔軟性や拡張性が不可欠

 スバルの渡邊氏は次のように語って締めくくった。「先行きが読めない中、柔軟性や拡張性を持った取り組みをやっていかなければならない。われわれの事業規模では、決め打ちでやることが大きなダメージになる可能性があるためだ。新たな工場のコンセプトは、人もAIもソフトウェアも成長し続ける工場だ。それをいかにEVの新工場に取り込んでいけるかが、将来の競争力にもつながると信じている。競争が激しい中で勝って行くには世界を見て、常に考えなければならない。どこと一緒にやるかが重要だ。北米ではJR Automation Technologiesと、日本では日立オートメーションとともに最先端の工場の在り方を考えている。単純にプロジェクト単位で切り分けて依頼するような従来の発想ではいい物はなかなか生まれてこないと改めて実感した」

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