転職アクティブ年代である25〜34歳の「今の会社にとどまっている(転職をしていない)理由」を詳しく見ると、リモートワークの有無や頻度で転職を思いとどまる要因に違いが見られた。リモートワークを実施していない層は「勤務地」を重視し、リモートワークを実施している層のうち頻度が高い「週2〜3回程度」と「週4回以上」は「柔軟な働き方」を最重視している。
エンゲージメントについて職種別に見ると、「エンゲージメント層」は研究、開発職が33.0%で最も高かった。一方、技能職は「エンゲージメント層」が23.6%と最も低く、「不満層」が48.8%を占めた。
年齢別では、「エンゲージメント層」が最も高いのは20〜24歳で31.1%だった。最も低いのは35〜39歳の24.7%となっている。
次に、非管理職を対象に、将来、管理職になりたいと思うかを尋ねたところ、「エンゲージメント層」は管理職志向が最も高く、「まったくその通り」(14.3%)と「どちらかといえばその通り」(34.0%)を合わせて、48.3%が管理職になりたいと思っていた。一方、「不満層」を見ると、管理職志向は10.3%だった。「どちらかといえば違う」(20.2%)と「まったく違う」(34.1%)を合わせた、管理職を希望しない層は5割を超えた。
2020年9月に経済産業省がまとめた「人材版伊藤レポート」では、従業員エンゲージメントを「企業が目指す姿や方向性を、従業員が理解、共感し、その達成に向けて貢献しようという意識を持っていること」と定義している。
同レポートの定義に従い、「会社が目指す姿の達成に向けた貢献意欲」と「会社が目指す姿や方向性への共感度」の2つの設問に肯定的な回答をした層と、「仕事のやりがい」「会社に対する誇り」の両方に肯定した層を比較した。その結果、「エンゲージメント層」の72.4%が合致。「否定層」では75%が合致した。
JMARの定義による「安住層」と「個人主義層」を比較した結果は、人材版伊藤レポートによる定義では「安住層」の方が「個人主義層」よりも従業員エンゲージメントが高い傾向があった。
続いて、エンゲージメント定義別に「現職からの転職意向」を調べた。「直近3年以内に転職を考えたことはない」が、全体では56.1%だったのに対し、JMARで定義する「エンゲージメント層」は72.4%で、全体の回答を10%以上上回った。
最後に「従業員エンゲージメント」を測るアンケートとして、日本企業の従業員に「会社に満足しているか」に代わる質問項目を検証した。その結果、全ての項目で係数が0.6前後と強い相関が見られた。特に「働きがいのある会社」「会社に対する誇り」などの項目は0.7以上と、会社満足度との強い相関関係を示した。このことから、「従業員満足度」と「従業員エンゲージメント」は、回答者からは同義と捉えられていることが分かった。
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