――作品「サン」に込めたこだわりを教えてください。
松堂さん 作品は、サンという沖縄のお守りがモチーフになっています。ススキを結んだもので、魔除けとして家の玄関口や門に置くことが多いです。今回は、芸術作品として飾るだけではなく、何らかの機能も持たせたかったので中に物を入れられる箱にしました。
――沖縄の魔除けといえばシーサーが有名ですが、サンについては今回初めて知りました。今日お話を伺って、沖縄のことを前より少しだけ学べた気がします。卒業後は沖縄で暮らす予定なのですか?
松堂さん はい。幼い頃から沖縄で生まれ育ち、両親から沖縄独自の文化やモノづくりを身近に感じられる環境で育ててもらいました。これからも沖縄の文化を知るきっかけになるような作品を作っていきたいし、「首里城の再建に携わりたい」という目標もかなえられるように頑張ります。
漆を学び、作品を生み出すには、日々価格が高騰する材料や道具を自費でそろえる必要があることに加え、漆によって肌がかぶれる「漆かぶれ」も乗り越えなければならない障壁だと感じました。
漆を扱う部屋では漆の飛沫が空気中を舞っていたり、床やドアにも付着している可能性があったりと、漆専攻の学生は日々、漆かぶれと戦いながら学校に通っているそうです。症状の重さは人それぞれではあるものの、苦しい思いをしながら制作をしている生の声を聞いて、漆器の貴重さや、その作り手を目指す彼らの強い決意を感じました。
数年前に行われた首里城の塗り替え作業には、2年以上もかかったのだとか。首里城が再建され、生まれ変わる頃、ぜひ沖縄を訪れたいと思います。
(ものづくり新聞記者 佐藤日向子)
ものづくり新聞
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