花王は豊橋工場の次世代倉庫において、自動運転フォークリフトによるトラックへの積み込み作業の実用化に成功したと発表した。
花王は2024年8月30日、多品種少量生産を行う同社の豊橋工場(愛知県豊橋市)内に建設した次世代倉庫において、自動運転フォークリフトによるトラックへの積み込み作業の実用化に同年7月に成功したと発表した。豊田自動織機が開発した、トラック荷役対応自動運手フォークリフト(AGF)を活用して実現した。同年10月には本格導入する。次世代倉庫のみならず、国内外の花王グループの生産、物流拠点への導入も検討していく。
トラックドライバーの時間外労働に罰則付きの上限規制などが課される物流の2024年問題を背景に、物流業務の効率化、自動化の必要性が高まっている。
スキンケア、ヘアケア製品を中心に多品種を生産する豊橋工場では「豊橋コネクテッド・フレキシブル・ファクトリー」構想を推進しており、生産、物流機能一体型運営による無駄のない製品の供給や、リードタイムの短縮、物流コストの低減、CO2排出の抑制を図っている。また、完全自動化が可能な次世代新倉庫を建設し、2023年3月31日より運用を開始。工場から製品を入庫、仕分け、出庫するまでを自動化することにより、柔軟な物流体制への対応を進めている。
ただ、出庫後のトラックへの積み込み作業は、荷物やトラックの都度異なる規格への対応や停止位置の誤差調整、長距離輸送に耐えられる荷崩れ防止の養生も必要なことから、人の経験を生かしたフォークリフト運転技術が必要となっていた。
花王では、積み込み作業の自動化に向けて、2021年より豊田自動織機と協働を開始し、2024年7月に、自動運転フォークリフトの実用化に成功した。豊田自動織機によれば、試験環境ではなく、現場での実際のオーダー、輸送を伴う導入は日本で初めてとなるという。実用化に成功した自動運転フォークリフトは、同年10月に本格導入し、日常的に稼働する予定だ。これにより製品入庫からトラックへの積み込みまで完全自動化された倉庫が実現する。
今回、採用した自動運転フォークリフトは、3D-LiDAR(Light Detection and Ranging)を用いたトラック位置検出、ガイドレスでの自動運転に加え、AI(人工知能)を搭載することで、画像認識、ディープラーニングによるマーカーレスでのパレット位置、姿勢検出が可能となっている。
また、荷役位置を自動で判断しながらトラックまでのアプローチ走行経路を自動生成するため、トラックの停車位置や積荷の姿勢が一定でない状況下においても荷役を自動化できる。
自動化をかなえるロボットフレンドリーな倉庫環境の構築と、製品入庫からトラックへの積み込みまでをスムーズに自動化するオペレーションを設計し、トラック輸送にも対応した業務プロセスの構築や倉庫内の設備を制御するITシステム(WCS)との連携も行った。花王では豊橋工場の次世代倉庫のみならず、国内外のグループの生産、物流拠点への導入も検討していく。
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