中種中量生産で量産効果を生み出す「GT」とは何か現場改善を定量化する分析手法とは(9)(3/4 ページ)

» 2024年08月21日 08時00分 公開

3.GTの活用分野

 部品や組立品の類似性を基本に分類して集約することで、その情報を設計、生産準備や製造、諸管理の各部門に一貫性をもって活用することにより、同一グループの一括生産(ロット集約)が可能となって生産効率を向上させる手法ですが、各部門では、GTを次のように活用して合理化を図ります。

 全体的な効果としては、作業効率の向上、機械設備の稼働率の向上、段取り時間の短縮、材料の歩留まり率の向上、スベース効率の向上、工程間の仕掛り量、部品や組立品の在庫量の縮減、見積もり工数の削減、管理工数の低減などが挙げられます。

(1)設計部門

 設計図面の流用、類似設計、変更設計の推進などが行われます。CAD(コンピュータ支援設計:Computer Aided Design)が常識となっている今日では、さらに次の段階としてCAD図面から標準部品を選択し、自動設計ができる仕組みにしておくことで設計段階でのGT化の推進が可能となります。

(2)製造部門

 類似加工物を集めて、加工法を自動化し、段取り作業を共通化したものをまとめることによって段取り時間を短縮できます。また、GTコード化された図面の管理は手作業では限界があります。CAM(コンピュータ支援製造:Computer Aided Manufacturing)まで連結したシステムの構築も必要となってきます。

(3)管理部門

 類似品の見積もり資料を流用することによって、新規部品や組立品の見積もり作業や加工作業の手順計画の省力化を図ることができます。

4.GT生産の導入手順

 GTを用いた生産を導入する手順は以下のようにまとめることができます。

  • (1)まず、現有図面から類似品を集めて詳細に分析し、共通特性を持つものを分類してGTグループを編成します
  • (2)次に、部品や組立品を分類した特性に配慮しながら、GTグループ別に、それらの部品の特徴を表すGTコードを割り付けます。GTコードの命名規則は、部品特性が分かるようにしておくことが重要です。さらに、GTグループ別に加工手順、標準時間(ST:Standard Time)を設定します
  • (3)GTグループ別に、各グループ内の部品や組立品について形状や寸法の標準化、共通化を検討します。これと並行して、加工法や作業方法の標準化や共通化を検討します。設計、工程や作業を標準化し、類似の加工物やプロセスの利用を推進します。既に製作実績のある場合の設計変更はかなりの努力が必要になるので、ある程度の標準化の後は、加工法の標準化がGT化のポイントになります
  • (4)以上の手順によるGT化で、類似部品や類似組立品を集約して一括生産手配し、量産効果の得られる生産管理手法を開発することも大切です
  • (5)GT化の目的は量産効果であり、そのためには量産効果を発揮できる生産ラインを構築する必要があります。特定の加工を行う幾つかの工程に、製品ごとに指定された順序で加工物を流していくジョブショップ(Job Shop)を加工順に並べた工程へ加工品を順に流していくフローショップ(Flow Shop)にするなどの生産方式の変革も必要となってきます
  • (6)従業員に対して、GTの概念や新しい生産システムについての教育や新しい標準作業のトレーニングを実施します。導入後、定期的に効果を評価し、必要に応じて改善を行っていきます

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