現在開発中のASCA Hopperは、直径2000mm、全長4000mm、乾燥重量663kg、全備質量743kg、飛行時間10秒、飛行高度10mという、ロケットの離着陸そのものの実験を目的とした機体だ。
約半年で開発と製造を終えて、既に単体燃焼試験を始めているエンジンは、燃料として液体メタンと液体酸素を用いる。短期間の開発を可能とするため、最終冷却系は省いており、断熱材を用いていることが特徴だ。
他の推進系についても、極低温バルブ耐圧/トルク試験、点火器単体試験、インジェクタ単体試験、液体窒素(LN2)流し試験などを行っている。
電装系については、OBC(オンボードコンピュータ)をドローン向けの部品から流用するなど、既存品の活用を主眼に置いてそれらの試験を行っている。
姿勢制御用のSJ(サイドジェット)については、2軸/3軸同時噴射試験を2024年10月に行う予定である。
再使用型ロケットで重要な役割を果たすのが着陸脚だ。2024年8月末に着陸脚の単体試験を、同年12月にはフライト用の着陸脚の落下試験を行う。
これらの試験を経て、2024年度内となる2025年3月末までにASCA Hopperの地上離着陸試験を実施したい考えだ。
なお、ASCA Hopperの試験はスペースポート紀伊(和歌山県串本町)で行っている。ASCA Hopperの現在の開発メンバー数は約20人で、ISCの社外からJALエンジニアリングやPDエアロスペースのメンバーも加わっている。また、ASCA Hopperのプロジェクトとは別に、研究開発プラットフォームであるP4SDの開発を担う8人とも連携しながら進めている状況だという。
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