2024年4〜6月期のグローバルでの小売り販売台数は、前年同期比0.2%減の78.7万台だった。地域別に見ると、中国が同3.3%増、欧州が同7.6%増とプラスだったが、日本が同8.0%減、北米が同1.7%減となった。販売に合わせて生産調整を行った結果、グローバル生産台数は同7.5%減の78.4万台だった。
日本では軽自動車の「デイズ」「ルークス」が好調だったが登録車が減少した。2024年4〜6月期の末までには受注に供給体制が追い付くとしている。2024年7〜9月期以降は、新型車の投入やマーケティングにより販売を回復させる。
北米での販売減少は、「ローグ」のモデルイヤー切り替えの遅れ、利益率の高い商品の鮮度低下、市場でのハイブリッド車(HEV)の需要拡大などが影響した。「セントラ」を中心に好調だったため、販売台数としては前年同期と比べて大きな変化がなかったが、ローグを巡る状況が収益を大きく圧迫した。
2024年1〜3月期(2024年3月期第4四半期)の小売りが想定を下回ったことで、古いモデルイヤーの販売が費用増につながった。米国の在庫適正化が収益を圧迫することは当初から見込まれていたが、在庫の増加、需要の減少、競争激化が重なり、想定より販売が伸びなかった。
米国では2024年初めの在庫が高水準にあり、ローグの2024年モデルへの切り替えが遅れたことで2023年モデルの販売費用が増加した。2023年モデルの販売促進のため、取引価格の回復と販売費用の削減に取り組んだ。販売費用は、ローンの支払い支援に充て、新車の残存価値を一定に保つようにしたことで取引価格は回復したものの、当初の想定よりも大きな販売費用が必要になったとしている。
2024年7〜9月期(2025年3月期第2四半期)に向けて生産調整を含めた在庫の適正化を図るとともに、今後出てくる新モデルではモデルごとに適切な販売施策を講じる。今後は、高収益な「アルマーダ」「ムラーノ」の他、インフィニティブランドの「QX80」といった新型車の投入によって2024年度下期に販売の質を改善していく。HEVの投入も、すでに発表した戦略の通り検討を進めている。
欧州では「キャシュカイ」「ジューク」の販売が好調だった。キャシュカイのe-POWER搭載モデルや電気自動車(EV)の「アリア」も好評で、電動車比率は49%に拡大したという。
中国市場全体では、外資系自動車メーカーの苦戦が続いている。2024年暦年では上半期に外資系自動車メーカーの販売が前年同期比で15.0%減少し、エンジン車の需要も大きく減少しているが、日産ブランドの販売減少は同2.3%にとどめており、「日産は他の外資系ブランドの中でも持ちこたえている」(CFOのマー氏)。「パスファインダー」の新型車が好調だった他、「シルフィ」は内燃機関搭載の乗用車の中で販売がトップだったとしている。持ちこたえてきた実績を維持しながら、今後の新エネルギー車の投入で成長していきたい考えだ。
「中国では、ローカルブランドから相当な新車投入が続いており、インターナショナルブランドは厳しい状況にある。販売価格の厳しい状況も続いている。700万台の日産車の保有がある。現状のモメンタムの維持に精いっぱいなところはあるが、まだ残っているエンジン車の需要に応えながら、モーターショーで披露した現地開発のEVにつなげていきたい。固定費の最適化については状況を細かくモニターしながらパートナーと議論を重ねていく」(内田氏)。
ホンダとの協業の検討は順調に進んでいるという。「協業の検討は、より具体性を持った議論に入っている。両社の経営陣から現場まで真摯な議論ができている。内容に関してはしかるべきタイミングで説明したい」と内田氏はコメントした。
さまざまなサービスを提供する上で協調路線を進めていく必要があり、想定よりも早く市場からサービスが求められることにも備えていきたい考えだ。
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